水戸~郡山間を茨城交通と福島交通が分担して計2往復/日の高速バスを運行しています。途中、勝田駅と日立駅を経由します。運賃は3,100円で、所要時間は3時間40分。2021年12月下旬から2月上旬までの実証実験中ですが、果たしてこの路線に勝ち目はあるのか?賢い使い方などを考えてみましょう。
実証実験は終了しており、今後の運行は未定です。
水戸~郡山間の鉄道
茨城県の水戸駅と福島県の郡山駅。両都市間はJR水郡線が結んでいます。
運行区間:水戸駅~郡山駅
運行本数:下り5本、上り6本
片道運賃:2,640円(普通運賃)
所要時間:約3時間20分(ダイヤにより異なる)
座席種別:セミクロスシート
トイレ:あるよ
WiFi:ないよ
JR水郡線は1~2両編成での運転。青春18きっぷや北海道&東日本パス利用期間中を中心に、全線を乗り通す乗客もいますが、速達型の快速や特急列車が走ることは無く、普通列車で3時間以上かかる道のりです。
基本的には不便。
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水戸周辺から郡山方面に向かう人も、一本で行ける位置関係なのに、少し躊躇する選択肢です。
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とはいえ、乗ってしまえば車内にはボックスシートもあり、自分たちのテリトリーができると意外と快適に過ごせる空間です。
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景色もきれいなところが多く、特に磐城棚倉~常陸大宮付近はスマホから目を離して外を眺めるのがおすすめ。
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途中駅で長時間停車するダイヤも組まれていますので、車内に缶詰めになることもありません。
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それでも敬遠されるのは…
- 速度が遅い
- 停車駅が多い
- いつまでたっても進んでいる感じがしない
とにかく退屈な印象を抱かせる魔物が水郡線には潜んでいるようです。
あの…フォローしておきますが、私は好きですよ、水郡線。
水戸~郡山間の高速バス
そんな不便な水戸~郡山間の移動に救世主が現れました。
2021年12月下旬から2月上旬までの実証実験ですが、水戸~郡山間に高速バスが登場。
水戸地区からは茨城交通が、郡山地区からは福島交通が、それぞれ毎日1往復ずつ運行しております。
運行区間:水戸駅・勝田駅・日立駅~郡山駅
運行本数:2往復(4本)
片道運賃:水戸3,100円、勝田3,000円、日立2,800円
所要時間:3時間40分
座席種別:一般シート(4列リクライニング機能あり)
トイレ:あるよ
WiFi:飛んでるよ
東京にも乗り入れる高速バスがそのまま充当されているようですね。
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ただね…
乗客が…
全然いない。笑
笑えない。
平日の水戸発の便を外から見ただけなので、これですべてを判断するわけにはいきませんが…
乗客が2~3人ということが多く、ゼロの日も…
このままでは実証実験結果は明るくないかもしれませんね。残念ながら。
高速バスのメリット
でもね、このバス、使い方によっては利用価値ありなんですよ。
勝田や日立から乗れる
実はこのバス、水戸から郡山まで直行するわけではありません。
途中、勝田駅と日立駅も経由します。
例えば日立駅から郡山駅に向かう場合、水郡線は利用できません。日立駅から常磐線を下り、いわき駅から磐越東線に乗り換える必要があり、アクセスがいいとは言えませんでした。
このバスが日立駅を経由してくれることにより、乗り換えなしで郡山まで向かうことができます。
なお、水戸→仙台線も日立駅を経由しますが、水戸から乗る場合と日立から乗る場合とでの差額は500円なのに対し、水戸→郡山線の場合の差額は300円に抑えられています。
ちょっと足元見たのかな?なんてね。
荷物を預けられる
水郡線で向かう場合、荷物は終始管理しなければなりませんし、大きければ網棚に上げることもできません。
高速バスにはトランクルームがあり、スーツケース程度であれば預けることが可能。
車内では身軽に過ごすことができますね。
WiFiが使える
茨城交通と福島交通は「みちのりホールディングス」の一員。
高速バスにはWiFiがついてて、両社ともに「みちのりWiFi」が使えます。
無料で使えるので助かりますね。(車酔いに注意)
水戸~郡山線に賢く乗るコツ
まずは時刻を知ろう
バス停 | 2便 | 4便 |
水戸駅 | 06:40 | 17:00 |
勝田駅 | 07:05 | 17:25 |
日立駅 | 08:05 | 18:25 |
郡山駅 | 10:20 | 20:40 |
バス停 | 1便 | 3便 |
郡山駅 | 06:55 | 16:20 |
日立駅 | 09:10 | 18:35 |
勝田駅 | 10:10 | 19:35 |
水戸駅 | 10:35 | 20:00 |
水戸~日立間で時間がかかる
勝田や日立にも経由する高速バスですが、これは水戸~郡山線を全線で利用する人にとってのデメリットになります。
時刻表をよく見ればわかりますが、水戸~郡山で3時間40分かかるうち、水戸~日立間だけで1時間25分もかかっています。
この区間、常磐線なら30分程度で到達。
逆に言えば、水戸駅で逃したとしても日立駅まで追いかけることが可能です。
土浦~赤塚間の利用者も始発便を利用可能
土浦駅05:48発の下り始発列車(高萩行き)が水戸駅に着くのは06:43。一方、郡山行きの高速バスが出るのは06:40。ぎりぎり間に合いません。
しかし、高萩行きにそのまま乗車し、勝田駅または日立駅まで行くことで、追いつくことが可能です。
高萩行きが日立駅に着くのが07:16で、08:05の発車までに十分すぎるくらいの時間を創出できます。
水戸駅の利用者も06時40分に行く必要はない
水戸近辺の人も、早起きして水戸駅に行く必要はありません。
水戸06:40発を逃しても、水戸07:27発の高萩行きで追いかければ、日立駅で追いつくことができます。
鉄道とバスを賢く組み合わせて、効率的に利用してみましょう。
「競走」したら高速バスルートが勝ちます
ここでお気づきだと思うのですが、水戸駅で一斉スタートすると、
- (電車+バス)水戸07:27→07:55日立08:05→10:20郡山
- (水郡線のみ)水戸07:28→10:50郡山
バスを利用するルートが勝ちになります。
遅い区間は鉄道を利用し、高速バスが本気を出す区間だけ利用すると、時間的には効率的です。
まとめ
高速バス「水戸~郡山線」の実証実験について考察し、以下の知見を得ました。
- 水戸~郡山間の’定期経路’は水郡線のみ
- 期間限定で高速バスが走っている
- 高速バスの方が高い&遅い
- 水戸~日立間を鉄道で抜けてから高速バスを利用すると最速
このままでは実証実験終了後に帰らぬ路線となることが目に見えています。両都市間を行き来する機会があれば、ぜひ利用してみてください。
高速バス「水戸~郡山線」
>> こちら(福島交通)
ではまた。