水戸駅から偕楽園エリアまでのバスが乗り放題になる水戸漫遊1日フリーきっぷにデジタル版が登場。どこでもクレジットカードで買えるメリットがあるのに、降りる際の操作が面倒で時間がかかる上、乗務員さんも知らない。ルールを把握して自信を持って利用するか、定着するまでは諦めて紙のきっぷを買いましょう。バス会社のみなさまは、まずは乗務員さんへの周知をお願いします。
水戸漫遊1日フリーきっぷとは
水戸漫遊1日フリーきっぷは、水戸市内の特定区間の路線バスが1日乗り放題になる乗車券です。
概ね【水戸駅ー偕楽園周辺】が乗り放題になるこのきっぷ。
茨城交通、関鉄バスの両社で使える便利なきっぷが500円で発売されており、水戸駅と偕楽園の単純往復(540円)よりも安いことから、特に梅まつり期間を中心に多くの旅行者に使われています。
偕楽園だけでなく、歴史館周辺、芸術館周辺、弘道館周辺(午前中のみ発着)へのアクセスにも使えます。特に、京成百貨店を含む商店街エリアの【水戸駅ー大工町間】には各方面のバスが集まるため、筆者も把握しきれないほどの本数が通ります。3分待ったら相当運が悪いと言われている区間なので、昼間であれば気軽に乗り降りしてOKです。
発売場所は水戸駅前のバス案内所に限られますが、ほとんどの人は利用開始が水戸駅となるため、問題になることは少ないようです。なお、茨城交通の窓口でも、関鉄バスの窓口でも買えます。
茨城MaaSとは
MaaSとは、Mobility as a Serviceの略。移動に関する様々なことをスマホアプリ1つで実現しようというコンセプトだそうです。
茨城MaaSは、その茨城県版。
手始めに竜ケ崎市と水戸市で開始されたサービスは、今後も県内に拡大していくことでしょう。
…なんて書いていますが、実はMaaS、ひたちMaaSとして県北地域に導入されたことがあります。いろいろと検証されているようですが、厳しめに書かせていただくと「大失敗(笑)」。
バスの一日乗車券を乗務員に見せても「なにそれ?だめだよ?」と否定され続け、降車のたびに事情と仕組みを乗務員さんに説明するという逆転現象。おまけに動作がうまくいかず、アプリ立ち上げから振り出しに戻されることも…
追加運賃を支払ったことは無かったものの、毎回1分以上、乗客の冷たい視線を背中に感じ、路線バスに遅れを生じさせながら日立市内を旅したのはいい思い出です…
と、思い出話で終わるかと思ったら、まさかの茨城県内再降臨。
さてさて、まさか二の舞を踏むようなことはありませんよね!?
お手並み拝見と行きましょうか(何目線)。
使ってみた感想として、デジタル版のメリットとデメリットを列挙していきます。
デジタル版のメリット
クレジットカードで買える
これまで、水戸漫遊1日フリーきっぷの購入は現金のみでした。今でも紙のきっぷは現金のみですが、デジタル版はクレジットカードで購入することができます。
これでもお値段は500円のまま。
クレジットカードのポイントがたまるので、1%相当還元とすると、きっぷは実質495円に値下げになっていますね。
ちょっと無理がありますけど。
項目 | 紙のきっぷ | デジタル版 |
値段 | 500円 | 500円 |
決済 | 現金のみ | クレジットカード |
発売 | 窓口のみ | スマホのみ |
どこでも買える
デジタル版はアプリで購入するので、水戸駅前のバス案内所に出向く必要がありません。
このメリットは、
- 高速バスなどで偕楽園周辺に直接乗り付ける場合
- 大工町周辺のホテルを利用している場合
- フリーエリア内に住んでいる場合
などに活きてきますね。
最初の1項目は、梅まつり期間中にJR常磐線偕楽園駅で下車した場合にも有効です。
いつでも買える
日曜日や祝日には、水戸駅の案内所のオープン時間が遅くなります。
偕楽園への無料入園を狙っているのであれば朝早くからの行動が予想されますが、その際に乗車券が買えないことになります。
デジタル版であれば24時間購入できるので、始発バスから利用することが可能です。
なくさない
紙のきっぷはカバンのどこかに行きがちです。持ち主の元を離れて旅に出てしまうこともあります。
デジタル版であればスマホに搭載されます。スマホをなくさない限りきっぷは守られます。
現代人はスマホがないと力尽きてしまうらしいので、これは大丈夫でしょう。
デジタル版のデメリット
乗務員が知らないリスク
遭遇リスク:★☆☆☆☆
(2022年2月6日時点では気にする必要はないです)
残念ながら、結局今回もそうでした。
茨城交通・関鉄バスともに、乗務員さんの8割が知らない状況。(導入日時点)
- なにそれ?って率直に聞いてくれる人
- 当社では使えません、と運賃請求する人
- 高速バス専用です、と何かを勘違いしている人
- 黙って睨みつけてくる人
- 初めて見ました!と喜んでくれる人
たぶん最後の人は「存在を知っているけど使っている人を見たことがない」パターンだと思いますが、他は論外ですよ。
あの~、茨城の魅力を云々という前に、乗務員さんが知らないのは致命的なので、しっかり周知をお願いします。
このまま梅まつり期間突入はまずいことになりますよ。
なお、今では「これ水戸漫遊一日フリーきっぷなんですけど使いますね」って伝えれば詰まることはありません。
通信失敗のリスク
遭遇リスク:★★★★☆
(2022年2月6日時点で最も気を付けるべき項目です)
乗務員さんの前で「ボタンを押して有効性を示す」必要があるのですが、なぜかそれが上手くいかないんですね。
主に2つのパターンがあります。
時間超過で無効になる
使い放題のきっぷなので、練習でボタンを何度も押していますが、それはすんなり成功。
しかし、いざ降りるときにやろうとすると「通信失敗しました」と表示されて振出しに戻ることがあります。
これね、いろいろ検証した結果、ボタンを押す直前の画面を開いたまましばらく時間が経過すると失敗する傾向があります。
バスを降りるときに手間取ってしまうとよくないので…と、良かれと思って早めの準備をしたのが仇になってしまうパターンです。
降りる1つ手前の停留所で画面を開くか、リロードボタンを押すとすんなりいきそうです。
原因不明の一時的な障害で表示されない
これは私の体験上はないのですが、妻が穴に落ちました。
降りるときに画面を表示させようとしたら真っ白に。何も表示されません。
おかしいと思って家に帰り、WiFiにつなげたところ、難なく表示されました。
おそらく、楽〇モバイルさんの電波のご機嫌だったのかと思っていますが、いまだに謎。
時間がかかるリスク
遭遇リスク:★☆☆☆☆
(2022年2月6日時点で使っている人がほぼいないので、自分たちが利用することによる遅延だけが影響する状況、軽微です)
紙の乗車券の場合、
- 整理券を入れる
- フリーパスを見せる
の2段階で完了なので、1人当たり3秒程度です。
しかし、デジタル版の場合
- 整理券を入れる
- 画面を見せる
- ボタンをタップする(1秒程度タイムラグ)
- もう一度ボタンをタップする(2-3秒のタイムラグ)
- 乗務員さんが確認する
- 知らなかった場合は説明する
という流れなので、仮に乗務員さんが知っていた場合でも10秒近くかかります。
これ、お客さんが多いときに全員がMaaSだった場合は果てしなく時間がかかります。
利便性の向上とは言い難い状況です。
スマホトラブルのリスク
遭遇リスク:★★★★☆
(バッテリー切れには特に注意)
スマホも壊れるときは壊れます。使えないときは使えません。
落として画面が割れることもありますし、バッテリーが切れることもあります。
楽〇モバイルさんの電波も完璧ではありませんし、do〇moさんが通信障害を起こすこともあります。
こうなるとアプリが使えないため、実費を支払うことになります。
デジタルチケットの使用方法
買い方
デジタルチケットは「ジョルダンモバイルチケット」として購入します。
使用するのは乗換案内アプリです。
アプリ内から直接、チケット購入することができますが、その際に乗換案内の会員登録が必要なので、他地域を含めてジョルダンモバイルチケットを全く使ったことがない人には、初回のみ手間がかかります。
使い方
デジタルチケットはスマホに表示した画面を乗務員さんに提示して利用するものです。
ただし、乗務員さんの前でボタンをタップして見せるなど、偽造ではない証明をリアルタイムで行うのが本来のやり方です。
公式サイトの説明の通り、乗車券画面にQRコードが表示されますが、これは使いません。
QRコード下の「利用する」ボタンを押してください。
1回押すと「利用しますか?」と確認画面になりますので、再度押します。
…なんだろう、個人の感想ですが、まずはQRコードなんて必要ないし、何回も使えるチケットなんだから初回利用時以外は確認画面不要です。
もう少し、最適化できることはありますね。
トラブル時の対応
ここまでの説明でお分かりいただけたかと思いますが、このシステムを管理しているのは「乗換案内」となります。
茨城交通や関鉄バスは、システムに関しては関与していませんので、システム上のトラブルが発生した場合は乗換案内のジョルダンに連絡しましょう。
私も身に覚えのない購入履歴(なぜか2重に決済されて乗車券が2枚ある)について相談したことがあります。このときは日を改めて2枚ともありがたく使わせてもらいましたが…
まとめ
茨城MaaSのアプリで「水戸漫遊フリーきっぷ」を使用し、以下の知見を得ました。
- クレジットカードで買える
- どこでも買える
- 失くさない
- 乗務員が知らないリスクがある
- アプリが正しく動作しないリスクがある
- 降車時に時間がかかるリスクがある
- スマホのトラブルがあると使えない
率直に言いますが、デジタル版は「水戸漫遊1日フリーきっぷ」の初心者には厳しいシステムです。よほどの事情がない限り、しばらくは紙のきっぷで様子見がいいでしょう。
その間に私がデジタル版を使って普及活動を進めておきます。
茨城MaaS
>> こちら
アプリのダウンロード
>> こちら
※否定的なことが多くなってしまった記事を読んでくれたにもかかわらずデジタル版を使ってみようと思ったあなたは勇者です!ぜひ一緒に利用促進による定着をお願いします。
水戸漫遊1日フリーきっぷ
>> 茨城交通
ではまた。