複数の鉄道路線が交わる北千住駅の構内。つくばエクスプレス線を除き、すべての路線が改札内で繋がっています。同駅を経由する直通運転が活発に行われるほか、改札を通らないスムーズな乗り換えが実現していますが、これで複雑になるのが運賃計算。利用者は何も考えずにSuicaやPASMOを利用すればOKです。実際の経路にかかわらず最安値で計算されるので、オトクになるケースがあります。
北千住駅とは
北千住駅の場所
北千住駅は東京都足立区にある駅です。
東京メトロの路線図では”右上”に位置していて、JR常磐線と東武線側から見た”東京メトロへの入口駅”になっています。
この駅には多くの路線が乗り入れています。その中で最も早く乗り入れたのはJR常磐線。1896年に前身となる「国鉄土浦線」の駅として開業したのが当駅の始まりです。その後東武スカイツリーライン(伊勢崎線)が乗り入れて乗換駅となりました。
商業施設が充実
北千住駅周辺には多くの商業施設があり、ルミネや丸井などの駅ビルのほか、駅前商店街が東西に延びています。
飲食店も多く、多彩なジャンルのレストランがあって、わざわざ来る人も多い街。
一方、駅から離れると、下町の雰囲気も漂っていて、都心へのアクセスのよい居住地として選ばれることもあります。
乗り入れ路線
北千住駅には、JR常磐線、東京メトロ千代田線・日比谷線、東武スカイツリーライン、つくばエクスプレス線が乗り入れています。
これだけ多くの路線が乗り入れているにもかかわらず、すべての線路が並行に配されていて、その様は芸術的ともいえます。
並行に並べられた線路を階層状に縦に並べています。
JR常磐線は快速線と緩行線(各駅停車)に分かれ、快速線としては途中駅ですが、緩行線は当駅まで。この先は全列車が東京メトロ千代田線と直通運転しています。
東武スカイツリーラインも急行線と緩行線に分かれていますが、急行線は1階に乗り入れて浅草方面に向かいます。緩行線は当駅で3階に上がり、東京メトロ日比谷線に直通運転しています。なお、浅草方面に向かう本線は、途中の曳舟駅で東京メトロ半蔵門線方面に分岐します。
つくばエクスプレス線。改札口こそコンコースの真ん中に位置していますが、他の誰とも直通運転をしておらず、単独で秋葉原に向かって行きます。
このように”並行でありながら複雑”な北千住駅構内ですが、実は多くの路線が改札内で繋がっているのです。
北千住駅「改札内で繋がってしまった」背景
前述のように、北千住駅では、多くの路線が改札内で繋がっています。
具体的には、つくばエクスプレス線を除くすべての路線が繋がっていて、中間改札もありません。
これにはいろいろは背景が重なってしまったようです。
JR常磐線と千代田線は直通運転
一つ目は、JR常磐線と東京メトロ千代田線が直通運転しているということ。JR常磐線の各駅停車と快速は同じ会社ですので、改札内で繋いでいます。一方、JR常磐線の各駅停車と東京メトロ千代田線は直通運転していますので、結果として全てのJR線と千代田線は改札内で繋がっています。
かつては有人改札がありましたが、あくまで旧式のキセル対策がメインだったのか、今では撤廃されています。
東武線と日比谷線は直通運転
二つ目は、東武スカイツリーラインと東京メトロ日比谷線が直通運転しているということ。日比谷線に直通する東武線の各駅停車と東武線の浅草方面は同じ会社ですので、改札を設ける必要がなく、繋がっています。結果として、全ての東武線と日比谷線は改札内で繋がっています。
千代田線と日比谷線は同じ会社
三つ目は、千代田線と日比谷線は同じ東京メトロ線であるということ。これにより、千代田線と日比谷線は改札内で繋がっています。日比谷線が発着する3階ホームから、浅草方面列車が発着する1階ホームを経て、地下の千代田線ホームへ行けるようになりました。
改札内で繋がるネットワーク
上記全ての結果として、地下を走る千代田線を経て、JR常磐線と東武線との改札内で接続され、さらに日比谷線とも繋がる改札内ネットワークが構築されました。
ただ、その経路は複雑。東武線とJR常磐線は隣同士で発着していますが、東武線とJR線のコンコースの間にはつくばエクスプレスのコンコースが壁となって立ちふさがっています。東武線からJR常磐線のホームに改札内で行こうとすると、一回千代田線の乗り場(またはコンコース)まで行かないとたどり着けません。
常磐快速線のホームから千代田線に向かう階段を見ています。「千代田線」「常磐線(各駅停車)」と案内されておりますが、実際にはこの階段を下ることで、東武線や日比谷線のホームまで改札を通ることなく向かうことが出来ます。
運賃計算
鉄道会社には致命的な構造
利用者にとっては便利(またはどうでもいい)ですが、運賃を過不足なく収受しなければならない鉄道事業者にとっては、北千住駅は致命的な構造です。
発駅で切符を購入して乗車していた昭和の時代であれば、経路はあくまで自己申告で、万が一にも相違があった場合には差額を収受し、悪質な違反が発覚するようなことがあれば不正乗車として取り締まることも出来ましたが…
令和の時代はきっぷを買わずにICカードで乗車することがほとんどです。
発駅と着駅の間に北千住を含む場合、利用者が北千住駅でどのような乗り換えをしたのか、改札機は判断できません。
ICカードで乗車する場合、実際の経路にかかわらず最安ルートでの運賃を収受するのが原則です。なぜなら、改札をタッチした時に利用者に経路の確認ができないにもかかわらず、機械が勝手に判断して実際の乗車経路よりも高い運賃を差し引くことは問題となるからです。
最も損しているのは東武線?
さらに致命的なのは、東武線が東京メトロ半蔵門線とも直通運転していることです。
北千住からICカードで乗車した乗客が渋谷駅で降りるとき、最も楽なのは乗り換えなしで行ける東武線押上経由ですが、渋谷駅の改札機は…
- 北千住ー東武線ー押上ー半蔵門線ー渋谷
- 北千住ー千代田線ー表参道ー半蔵門線ー渋谷
どちらで乗車したのか、判断できません。そのため、安価な千代田線表参道経由での運賃を差し引かざるを得ず、東武線は運賃を収受できなくなります。
上記例は渋谷駅の場合を記載しましたが、北千住または北千住以北から東武線を利用し、東京メトロ線内に向かう場合、東武線(北千住ー押上間)の運賃を収受する計算がされることは稀です。ほとんどの場合は、北千住で日比谷線か千代田線に乗り換えたものとして運賃が計算されます。
そのため、利用者にとっては安価で済みますし、鉄道会社は損失を被ります。
実際にはこの問題は鉄道会社も認識していて、被ってしまった損失は各社で分配しているという話もあります(未確認)。
また、紙の乗車券で乗車する場合は経路通りに購入する必要がありますので、ご注意ください。
まとめ
北千住駅の構造に着目し、以下の知見を得ました。
- 北千住駅はつくばエクスプレスを除くすべての路線が改札内で繋がっている
- その構造が運賃計算を複雑にしている
- ICカードを使えば利用者が損失を被ることはない
- 実際の乗車経路よりも安い運賃で乗車することが可能なケースが多い
- 東武線の運賃が発生しないケースもある
- 紙のきっぷの場合は経路通りに購入する必要がある
まだ紙のきっぷを使っている人は、この機会にICカードへ移行してみましょう。これ以外にも、ICカードで勝手にオトクになるケースは多くありますよ。
東京メトロー都営地下鉄の運賃計算についてはこちら
西日暮里ー北千住ー綾瀬間の運賃計算は複雑になっています
ではまた。