自動車で東京から東北をめざす場合、東北道を利用するのが一般的です。しかし、海沿いでは常磐道が仙台まで繋がっていて、東北道の迂回ルートとして活用することもできます。常磐道を選ぶメリットとして、(1)渋滞が比較的少なく、(2)交通量も少なめ、という点が挙げられます。メリットとは言えませんが、(3)最高速度規制110km/h区間があることも特徴の一つです。一方、(4)対面通行区間がある、(5)トンネル連続区間がある、(6)サービスエリアの営業時間が短い、(7)観光シーズンは渋滞する、などの注意点もあります。気になる料金はさほど変わらないケースが多いです。サービスエリアの情報などと合わせてご紹介します。
東北方面のメインルートは東北道
自動車で東京を出発し東北方面に向かう場合、東北自動車道(=東北道)で北上するのが一般的ですし、それが正解です。
宇都宮まで片側3車線で整備され、一部区間は最高速度が120km/hに引き上げられています。
トンネルも少なく、走りやすい。
SAやPAも充実し、同乗者も快適に過ごせそう。
…というのは普段の東北道のお話。
利用が集中する時期には、いたるところで渋滞が発生し、なかなか先に進めない地獄の旅が待っています。
そんなときに「常磐道で北上すればいいんじゃない?」って、思いますよね。
はい、思います。
結論から言うと、常磐自動車道(=常磐道)を北上したからといって早く着くことをお約束はできませんが、選択肢の一つとしてはアリです。
では、実際に常磐道を北上するとどんな感じなのか、予習しておきましょう。
常磐道の基本情報
常磐道の区間は三郷~亘理
この記事の主役、常磐道の予習をしておきましょう。
常磐道は、埼玉県の三郷から宮城県の亘理までを太平洋沿いに結ぶ、全長300kmの高速道路です。
東北道が内陸を進むのに対し、常磐道は海沿いを進みますから、所々で太平洋を望むことができます。
常磐道:三郷JCTから亘理ICまでの300.4km
三郷では首都高速に接続
三郷では首都高速6号三郷線に接続します。首都高速6号三郷線をぼーっと走っていると、そのまま常磐道に入ります。
境となるところには三郷JCT(外環道との分岐点)がありますので、常磐道の起点は分かりやすいでしょう。
亘理では仙台東部道路に接続
亘理では仙台東部道路に接続します。常磐道をぼーっと走っていると、そのまま仙台東部道路に入ります。
三郷とは異なり、境となるところには亘理ICがあるのみ。さらに、高速道路の料金体系もここで変わるわけではなく、仙台東部道路との通しの走行距離で計算されます。制限速度区分(普通車100km/h)も変わりません。
常磐道の終点は意識せずに通り過ぎる人も多いでしょう。
110km/h運転可能
常磐道では、線形の良い一部区間において、最高速度を110km/hに引き上げられています。
具体的には下記区間となります。
110km/h区間
桜土浦IC~岩間IC間:約30km
同区間では、通常100km/hまでの最高速度が110km/hとなります。
3車線ありますから、110km/h近くまで出せる車は中央車線を、ゆっくり走りたい車は左車線を走るとスムーズでしょう。
特に渋滞が発生しやすい長い上り坂付近(標識もあります)では、自身が後続車の渋滞発生の原因とならないようメリハリを持って走りたいですね。
車線の状況
3車線は水戸まで
常磐道は都心と茨城県を結ぶという観点で主要な幹線になっています。
交通量も多いため、水戸ICまでは片側3車線で整備されています。
また、特に交通量が多くなる友部SA~友部JCT間では、短い区間ではありますが、一時的に実質4車線になります。ひたちなか方面への車列が伸びた時にも威力を発揮します。
2車線は広野まで
水戸ICを過ぎると2車線になりますが、交通量を考えると妥当です。
かつてはいわき中央ICで2車線区間が終了していましたが、現在は同区間が広野まで延伸しています。
故・安倍元総理が被災地訪問をした際に「広野までの4車線化を早急に進めるよう指示しました」というコメントが大変心強かったことをよく覚えています。その時にはすでに4車線化の話は出ていたようですが、その動きが加速したことは間違いないでしょう。
対面通行は山元まで
広野を過ぎると対面通行区間で、片側1車線となります。
最高速度は70km/hに制限され、一部区間を除き追い越しもできません。
あまり大きな声では言えませんが、みなさまの安全のためにお伝えすると、対面通行区間での実勢速度は80km/hを超えています。70km/hで走る車がいると車列ができ始め、追突事故が起きやすくなりますから、車間距離に気を付けなければならない、神経質な区間です。
対面通行区間での70km/hは遅すぎる設定かもしれません。しかし、対向車線にはみ出るような大事故が発生することもあります。そんな時にもこちらは無傷でこの世に残りたいですよね。制限速度を守った走行がその可能性を高めてくれますから、焦らず行きましょう。
仙台側では山元ICから北で再び2車線になります。かつては常磐道を抜けて仙台東部道路の岩沼ICまで対面通行区間でしたが、現在は山元ICまでに短縮し、利便性が向上しています。
サービスエリア情報
常磐道にはサービスエリアが設置されています。
三郷から
15.5km:守谷SA
72.8km:友部SA
136.8km:中郷SA
257.7km:南相馬鹿島SA
このほかにパーキングエリアも設置されていますが、ここでは省略します。
守谷SA
守谷SAは東京寄りの最初の休憩所になります。ここでは広々としたフードコートが整備されているほか、ローソンも入店。
地元野菜を取り扱う直売所もあります。
スターバックスが上下線共にあります。首都高速を走って少々お疲れだと思いますので、ここは必須で立ち寄りたいところ。
上り線の守谷SA入口は渋滞することもあるので警戒しましょう。
上り線の施設はつくばエクスプレスの高架横に設置されています。
ちなみに、守谷SA上り線への分岐点は、煽り運転の末にガラケーを取り出した例の事件で全国ニュースになってしまった場所でもあります。
友部SA
友部SA は、水戸の手前、北関東道との接続点の直前にあります。
フードコートのほか、レストランも入店しています。
下り線の設備では、中庭を取り囲むように店舗が並び、所々でスズメも羽を休めています。
おすすめは下り線のフードコートでいただける豚丼。筑波山盛りというビッグサイズもあるので、挑戦したい方は是非どうぞ。※血糖値の急上昇にご注意
上下線ともに、小規模ながらスターバックスが出店しています。
サービスエリア併設のETC専用のスマートICがあります。間違えて出ないようにしましょう。
中郷SA
中郷SAは、北茨城ICの手前にあります。
日立市内のトンネル連続区間を越えた先、疲れてきたかなというときにたどり着ける絶妙な場所にあります。
友部SAからさらに規模は縮小しますが、フードコートがあります。
おすすめは、上り線のお食事。ボリュームのある定食をがっつりといただけます。余談ですが、我が子が大人サイズを頼み、半分以上残して私が1.5人分食べたらもう限界でした。
南相馬鹿島SA
南相馬鹿島SAは福島県北部にあります。いわき以北では唯一となる貴重なサービスエリアです。
手前のならはPAから50kmにわたって休憩所のない区間となりますから、ここは必ず寄っておきたいところ。
上下集約で、高速道路としての休憩設備はトイレのみ。
しかし、南相馬市が整備したセデッテかしまが隣接し、充実しています。
相馬野馬追が開催される地域にちなみ入口で馬が出迎えてくれる施設内には、フードコートやお土産屋さんが入店。
浜通りだけでなく、中通りや会津地方も含めた福島県内の特産品が手に入ります。
広場には子どもが遊べるボールトランポリンも設置。散々遊ばせてコテンと寝かせるのがいつもの作戦です。
このサービスエリアには、いわきと仙台を結ぶ高速バスも休憩地点として利用しているようです。
常磐道に迂回するメリット
渋滞が少なめ
東北道の代わりに常磐道を北上して進むと、渋滞が少ないメリットがあります。
週末の交通情報を見ても、東名や中央道、関越道、東北道が軒並み真っ赤に染まっている横で、常磐道はスイスイ流れていることもあります。
渋滞回避のために常磐道を進むのは一案としてアリと言えるでしょう。
海も楽しめる
内陸を進む東北道に比べ、太平洋沿いを進む常磐道。
特に日立以北において、所々で太平洋を拝めることができます。
高台に設置されている日立中央PAからは、日立の街並みの奥に太平洋を眺めることができ、個人的におすすめな絶景スポットの一つです。
※日立中央PAには出口も存在し、この出口は日立有料道路(100円)に直結しています。ご注意を。
通行料も大きく変わらない
常磐道を北上したとしても、東北道と比べて著しく遠回りをしているわけではありません。
そのため、通行料もさほど大きく変わらないことが多いです。
詳しくは浦和本線~目的地と三郷本線~目的地で検索し、事前に調べてみましょう。
常磐道に迂回する注意点
渋滞が発生することもある
スイスイ流れる常磐道ですが、渋滞が発生することもあります。
特に、利用が集中する時間帯の上り線においては、首都高速6号三郷線を起点とする渋滞が常磐道守谷SA付近まで伸びることもあります。
また、国営ひたち海浜公園でのイベント開催時には、コキア渋滞等と言われる北関東道の渋滞が常磐道まで伸びることもあります。
対面通行区間がある
広野~山元間は対面通行区間となっていて、片側1車線となります。
繰り返しになりますが、この区間の制限速度は70km/hです。実勢速度はもう少し速いかもしれませんが、車が詰まってくると追突事故のリスクも出てきますから神経を使うでしょう。
追越車線が出現する区間がありますが、何台も前にゆっくりな車がいる場合は、無理に追い越さない方がいいでしょう。前の車がさらに前の車を勝手に追い越してくれるので、同区間では自然とスピードが上がります。これを繰り返すことで無理に追い越さなくてもゆっくりな車の背後に付くことができます。そうなったら次の追い越し区間で抜きましょう。
トンネル連続区間がある
海と山に囲まれ、平地の少ないことで有名な日立市内では、高速道路は山の中に入ります。
日立南太田ICを過ぎると一気に高度を上げ、日立北ICまでトンネルが連続する区間に突入します。
同区間では制限速度が80km/hになります。
ひとたび事故が発生するとトンネル火災に発展することもありますから、特に気を付けて運転しましょう。残念ながら死亡事故も起きています。
夜間はサービスエリアが閉まる
大大大動脈の東名などとは異なり、常磐道のサービスエリアはフードコートの営業時間が短めになっています。
例えば中郷SA(上り線)では21:00には閉まってしまいます。セデッテかしまは20時に閉館します。
夜間走行をする際には注意しましょう。
なお、概ね水戸以南に設置されているパーキングエリア内のコンビニは24時間営業となっています。活用しましょう。
まとめ
東北道の迂回経路として常磐道を利用し、以下の知見を得ました。
- 渋滞が少なく、走りやすい
- 海の景色を楽しめる
- (東北道と)通行料はさほど変わらない
- 対面通行区間がある
- トンネル連続区間がある
- サービスエリアの営業時間が短いことがある
注意点をわきまえたうえで、常磐道での旅をお楽しみください。
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ではまた。