自動車で東京から東北方面をめざす場合、東北道を利用するのが一般的です。しかし、太平洋側には常磐道が仙台方面までつながっていて、東北道が混雑しているときの迂回ルートとして使うこともできます。
常磐道は東北道とは道路の性格がかなり異なります。首都圏側は走りやすい一方、福島県内には対面通行区間が残り、日立周辺にはトンネルが連続します。サービスエリアの規模や営業時間にも差があります。
この記事では、実際に常磐道を何度も走った経験をもとに、2026年8月時点の道路状況を確認しながら、東北道の代わりに常磐道を使うメリットと注意点をまとめます。
東北方面のメインルートは東北道
自動車で東京を出発し東北方面へ向かう場合、まず候補になるのは東北自動車道(=東北道)です。
首都圏から宇都宮方面にかけて車線数も多く、トンネルも比較的少ないため、基本的には走りやすい高速道路です。
SA・PAも充実しています。
……というのは、道路が順調に流れているときのお話。
ゴールデンウィーク、お盆、年末年始など利用が集中する時期には、東北道でも長い渋滞が発生します。
そんなときに気になるのが、
「常磐道から仙台へ向かったほうがいいのでは?」

結論から言えば、選択肢の一つとして十分アリです。
ただし、常磐道へ回ったからといって必ず早く着くわけではありません。
東北道と常磐道では道路の特徴がかなり違うため、渋滞状況だけでなく、目的地や時間帯も含めて選ぶのがおすすめです。
常磐道の基本情報
常磐道は三郷~亘理を結ぶ
常磐自動車道は、埼玉県の三郷から宮城県の亘理までを結ぶ高速道路です。
常磐道:三郷JCT付近~亘理IC 300.4km
東北道が内陸部を北上するのに対し、常磐道は茨城県・福島県の太平洋側を進みます。
とはいえ、ずっと海岸線を走るわけではありません。海が見える場所もあれば、山の中をトンネルで抜ける区間もあります。
三郷では首都高速に接続
東京側では三郷JCT付近で首都高速6号三郷線につながっています。
首都高速6号三郷線をそのまま進めば常磐道へ入るため、東京都心方面から利用する場合は非常に分かりやすいルートです。
亘理では仙台東部道路に接続
宮城県の亘理ICまで進むと、道路はそのまま仙台東部道路へ続きます。
ドライバーの感覚としては常磐道の終点を強く意識することはなく、そのまま仙台市方面へ進むことができます。
桜土浦IC~岩間ICは最高速度110km/h
常磐道の特徴の一つが、茨城県内の一部区間で最高速度が110km/hに引き上げられていることです。
最高速度110km/h
桜土浦IC~岩間IC間:約30km
線形が良く、常磐道の中でも比較的走りやすい区間です。
もちろん、110km/hは「110km/hで走らなければならない」という意味ではありません。交通状況や天候に応じて安全な速度で走りましょう。また、車種によって最高速度が異なる場合があります。
常磐道の車線状況
東北道の迂回ルートとして常磐道を使う場合、最も知っておきたいのが途中で道路の雰囲気が大きく変わることです。
東京~茨城県内は比較的走りやすい
首都圏から茨城県内にかけての常磐道は交通量の多い幹線道路で、複数車線が確保された区間が長く続きます。
桜土浦IC~岩間ICでは最高速度110km/hとなっていることからも分かるように、線形も比較的良好です。

いわき中央IC~広野ICは4車線化済み
かつて常磐道は、福島県へ入ると早い段階から片側1車線になる道路でした。
しかし道路改良が進み、いわき中央IC~広野ICは2021年までに全線4車線化されています。
以前と比べると、いわき市周辺はかなり走りやすくなりました。

広野IC~山元IC方面には対面通行区間が残る
一方、広野ICより北では、2026年現在も片側1車線の対面通行区間が残っています。
以前の記事では「広野~山元が対面通行」と紹介していましたが、現在は付加車線の整備や4車線化が進んでいるため、単純に区間全体を対面通行と表現するのは正確ではなくなりました。
2026年時点では、次の区間などで4車線化事業が進められています。
- 広野IC~ならはスマートICの一部
- 浪江IC~南相馬ICの一部
- 相馬IC~新地ICの一部
- 山元南スマートIC~山元IC
つまり、福島県浜通りでは2車線区間、対面通行区間、追越車線・付加車線などが入れ替わりながら続くと考えておくと分かりやすいです。
対面通行区間では追い越しができる場所も限られます。前方に遅い車がいても無理な追い越しはせず、十分な車間距離を取って走りましょう。
山元ICから先は再び4車線
仙台側では山元IC~岩沼ICが2021年に4車線化されています。
かつては仙台側まで対面通行が続いていましたが、現在は山元ICまで来れば道路状況が大きく改善します。

サービスエリア情報
常磐道で長距離移動する場合、休憩場所も重要です。
東京側から主なSA
守谷SA
友部SA
中郷SA
南相馬鹿島SA
このほかにもPAがあります。
守谷SA
守谷SAは東京側から常磐道へ入って最初の大規模なサービスエリアです。「Pasar守谷」として整備されています。
フードコート、売店、ローソン、スターバックスなどがあり、施設の充実度は常磐道でもトップクラス。
2026年現在、スターバックスは上り6:30~22:00、下り7:00~22:00。24時間営業の飲食店もあります。
首都高速を抜けてきた直後の休憩場所として使いやすく、個人的にも立ち寄ることが多いSAです。

友部SA
友部SAは水戸の手前、北関東道との接続点である友部JCTの近くにあります。
フードコート、売店、スターバックスなどがあり、こちらもかなり充実しています。
特に重要なのが、フードコートとショッピングコーナーに24時間営業の機能があること。
「常磐道は夜になるとSAが全部閉まる」というわけではありません。
スターバックスは上下線とも7:00~21:00です。

中郷SA
中郷SAは北茨城ICの手前にあります。
日立市内のトンネル連続区間を越えた先にあり、「そろそろ休みたい」と思う頃に現れる絶妙な位置のSAです。
守谷・友部と比べると規模は小さくなりますが、フードコートとショッピングコーナーがあります。

南相馬鹿島SA
南相馬鹿島SAは福島県北部にある、常磐道北部の重要な休憩地点です。
高速道路側には駐車場・トイレ・給油設備などがあり、隣接して南相馬市の施設「セデッテかしま」があります。
セデッテかしまには食事処やお土産売り場などがあり、浜通りだけでなく福島県内のさまざまな商品を購入できます。
一方、南相馬鹿島SAのガソリンスタンドは24時間営業となっています。

東北道から常磐道へ迂回するメリット
東北道が混雑しているときの代替ルートになる
常磐道最大のメリットは、東北道とは別のルートで東京~仙台方面を移動できることです。
大型連休などでは東北道に長い渋滞が発生する一方、常磐道側の流れが比較的良いこともあります。
そのような場合には、常磐道が有力な迂回候補になります。
日立以北では太平洋が見える場所もある
内陸を進む東北道に対し、常磐道は太平洋側を北上します。
特に日立以北では、ところどころで太平洋を見ることができます。
高台にある日立中央PA付近から眺める日立の街と太平洋は、個人的にも好きな景色の一つです。

なお、日立中央PAには日立中央ICも併設されています。休憩後に誤って出口方向へ進まないよう注意しましょう。
料金差が小さいケースもある
常磐道は東京~仙台間を大きく遠回りする道路ではないため、東北道経由と比べても通行料金の差が小さいケースがあります。
ただし、料金は出発IC・到着IC、首都高速の利用有無、ETC割引などによって変わります。
「東北道経由」と「常磐道経由」を出発前に料金・所要時間の両方で比較するのが確実です。

常磐道へ迂回するときの注意点
常磐道でも渋滞は発生する
常磐道が東北道より空いているケースがあるとはいえ、常磐道も渋滞する道路です。
東京方面へ向かう上り線では、首都高速6号三郷線方面の混雑の影響を受けることがあります。
また、友部JCT周辺では北関東道の交通状況の影響を受けることもあります。
国営ひたち海浜公園のネモフィラ・コキアの見頃や大型イベント開催時には、茨城県内の高速道路が普段とは違う混み方をすることもあります。

福島県内には対面通行区間が残る
2026年現在も、広野IC以北を中心に対面通行区間が残っています。
4車線道路と比べると追い越しできる場所が限られ、前方の車の速度によって流れが変わりやすいのが特徴です。
一方で、付加車線や4車線化の整備も進んでいます。
焦って追い越すより、十分な車間距離を確保し、追越可能区間でも周囲の状況を確認して走ることが重要です。

日立市内はトンネルが連続する
海と山に挟まれ平地の少ない日立市内では、常磐道も山の中へ入ります。
日立南太田IC付近から日立北IC方面にかけては、トンネルが次々に現れる区間です。
明るい場所と暗い場所を何度も行き来するため、長距離運転で疲れている場合は思った以上に神経を使います。
速度規制も区間によって変わるため、標識を確認して走りましょう。
北へ行くほど夜間の食事場所に注意
以前は「常磐道のサービスエリアは夜になると閉まる」と紹介していましたが、現在は少し事情が異なります。
守谷SAや友部SAには24時間利用できる飲食・売店機能があります。
一方、中郷SAのフードコートは21時まで、南相馬鹿島SAに隣接するセデッテかしまは20時までです。
夜間走行なら、茨城県南部~友部付近で食事を済ませるのも一案。
北へ向かうほど「次のSAで食べればいい」が通用しにくくなります。

東北道と常磐道、結局どちらを選ぶ?
通常時であれば、東京から東北方面へ向かう基本ルートは東北道でいいと思います。
一方、東北道に大きな渋滞が発生しているときには、常磐道を比較する価値があります。
東北道がおすすめ
・東北道が順調に流れている
・福島市、郡山市、山形方面へ向かう
・対面通行を避けたい
・SA・PAの充実度を重視する
常磐道もおすすめ
・東北道で長い渋滞が発生している
・いわき、相馬、仙台方面へ向かう
・渋滞を避けるため別ルートを確保したい
・太平洋側を走ってみたい
大切なのは、最初から「絶対に東北道」「絶対に常磐道」と決めてしまわないこと。
出発直前の渋滞情報と所要時間を比較して、その日に有利な道路を選ぶのが一番です。
まとめ
東北道の迂回経路として常磐道を利用する場合の特徴をまとめます。
- 東北道が混雑しているときの有力な代替ルートになる
- 東京~茨城県内は比較的走りやすい
- 桜土浦IC~岩間ICには最高速度110km/h区間がある
- いわき中央IC~広野IC、山元IC~岩沼ICは4車線化済み
- 広野IC以北には対面通行区間が残る
- 福島県内ではさらに4車線化工事が進んでいる
- 日立周辺はトンネルが多い
- 北へ行くほど夜間の食事場所には注意したい
- 料金差が小さいケースもあるが、出発前の比較が必要
常磐道は「東北道より優れた道路」というわけではありません。
しかし、東京と東北を結ぶルートが東北道だけではないことには大きな意味があります。
東北道が混雑しているとき、常磐道というもう一つの選択肢を知っているだけでも旅の自由度はかなり上がります。
道路状況を確認しながら、安全第一で常磐道の旅をお楽しみください。
ETC利用者向けには、高速道路が定額で乗り放題になる周遊プランが設定されることもあります。旅行前には最新の対象エリア・利用条件を確認してみてください。
ではまた。


