【遠回り】北関東自動車道が国道50号線から離れている理由は「宇都宮タッチ」のため。

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道路
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北関東自動車道は、群馬県高崎市と茨城県水戸市を結ぶ高速道路です。同区間には国道50号線が並行していますが、主に小山付近において国道50号線や鉄道(両毛線・水戸線)を大きく迂回する経路を取っています。北関東を横断したい利用者には不利なルートであり、小山~筑西付近ではあえて利用しないケースも出ています。なぜこうなってしまったのか。その理由は「宇都宮タッチ」。苦し紛れのタッチの様子をお楽しみください。

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北関東自動車道について

まずはこちらをご覧ください。

出典:背景地図は国土地理院Vector(こちら)、筆者にてイラストを上書き

これは、高崎JCTから水戸南ICを結ぶ北関東自動車道の経路図と、無料の国道50号線を同じ地図上に並べて描いたものです。

北関東を東西に横切る高規格路線なので、個人にとっても、企業にとっても非常に重要な高速道路なのですが…

何か違和感を覚えませんか?

国道50号線は迂回をせずにまっすぐ東西を結んでいるうえ、小山~佐野藤岡付近は走りやすいバイパスになっています。鉄道だって、水戸線や両毛線は小山を通るまっすぐなルートのはずなのに…

出典:国土地理院Vector(こちら)にイラストを筆者追記

…なぜか北関東自動車道だけは途中で北側に大きく迂回しています。

そのせいもあり、北関東自動車道の進路は栃木都賀JCTで東北自動車道にぶつかった挙句、相乗りをし、岩舟JCTで再び東北自動車道と分かれるルートをとっています。

仮に東西をまっすぐ行けば、岩舟JCTだけで済んだように見受けられます。

近くに東西を結ぶ高速道路を失ってしまった小山市中心部の国道50号線は渋滞が慢性化しています…

何で北関東自動車道はこんなことになっているのでしょうか?

北関東自動車道の計画

起源は法律にあり

北関東自動車道の建設については、国土開発幹線自動車道建設法という法律が起源になっています。

この法律によると、北関東自動車道は

高崎市から、前橋市付近、宇都宮市付近、水戸市付近を経由してひたちなか市に至る路線

として計画されています。実際には高崎JCTから水戸南ICまでが北関東自動車道で、水戸南ICとひたちなかIC間は東水戸道路として運用されていますが、ともあれ北関東3県の県庁所在地を経由するように計画されていて、結果としてこの通りに建設されたのですが…

この際に問題となったのは「宇都宮市付近を経由する」という難易度の高さ。

高崎市と水戸市を東西でまっすぐ結ぶ国道50号線は、栃木県内では足利市、佐野市、小山市を経由しており、宇都宮市は経由していません。

国道50号線の混雑を緩和するために建設された北関東自動車道ですが、国道50号線に沿って建設してしまうと宇都宮市付近を通るという約束を果たせなくなります。

よって、桜川筑西ICから岩舟JCT付近までは北に大きく迂回し、宇都宮市を経由するように建設されたのです。

市境ギリギリのインターチェンジ

どれくらい苦し紛れなのかというのは、下の地図を見るとよくわかります。

出典:国土地理院Vector(こちら)に市名を筆者追記

分かりやすいように市境を太めに示しています。

北関東自動車道の中で、宇都宮上三川ICがあるこの地付近が、宇都宮市の南端になります。

…ん??

…これは本当に通っているのか?

VAR判定はいりま~す

出典:国土地理院Vector(こちら)

はい、入っています。これが”北関の1ミリ”です。

上記地図中の「宇都宮上三川ICが国道4号線とつながっているところは宇都宮市」ですが、「そのすぐ南側は栃木県河内郡上三川町」であり、宇都宮市から外れます。

それくらいの超ギリギリを攻めに攻めたルートどりで、かろうじて「宇都宮市付近を経由する」という約束を果たした北関東自動車道。

しかし、その甲斐があって宇都宮上三川IC付近は「宇都宮インターパーク」として再開発され、特に中核の商業施設には県境をまたいで訪れる人も増えているようです。結果として宇都宮市郊外の発展に貢献する形となりました。「遠回り」と言い放っておきながら書きにくいのですが、宇都宮以外の北関東民にとっても利便性が上がり、おこぼれを頂いています。

また、途中経由地となった真岡IC周辺においても大規模な区画整理事業が進められており、おこぼれを頂く運びとなっています。国道408号線と接続し、近くには国道294号線も走っているため、経由ICとしての役割も大きいです。

北関東自動車道を走行

水戸南ICから高崎JCTまで走行した時の記録としてご参考です。

宇都宮上三川IC付近

今回問題となった宇都宮上三川ICは、いわば「宇都宮タッチ」のために作られたインターチェンジなので、進路を北に向けたのち、宇都宮上三川ICを過ぎながら左に急カーブを形成し、進路を南に変えます。

インターチェンジ出口の1km手前も左カーブ。

インターチェンジも左カーブ。とにかくずっと左カーブで、進路を南に変えるのに必死です。

背景を知っている人にとっては、北関東自動車道のあからさますぎる忖度ルートに感動しながら走ることができる区間です。

遠回りさせられていることにイライラせずにお楽しみください。

栃木都賀JCT~岩舟JCT

南西に向かうと、東北自動車道とぶつかります。しかし、目指すは佐野方面なので、潔く東北自動車道に合流します。

栃木都賀JCTは東北自動車道と合流する北側のジャンクションになります。ぼーっと走っていると道がなくなりますので気を付けましょう。

栃木都賀JCTから岩舟JCTまでは東北自動車道にお邪魔するのですが、

  • 宇都宮以南の東北道はただでさえ交通量が多い
  • そこに北関東道を東西に移動する車が合流する
  • アップダウンの激しい区間で自然と速度が落ちる

この三重苦で渋滞が発生しやすい名所となっています。

ただし、空いていれば快適。たかが北関東の移動なのにもかかわらず、3車線の道路を楽しめるのはここだけです。

栃木ICを過ぎると岩舟JCTに至ります。ここでは忘れずに側道にずれなければなりませんが、岩舟JCTからの北関東道は西方面行きしかありませんので、道を間違えることはないでしょう。

まとめ

北関東自動車道の不可解な北側迂回ルートについて、以下の知見を得ました。

  • 北関東自動車道の建設には「宇都宮付近を通る」法律上の約束があった
  • 水戸と高崎を直線的に結ぶと宇都宮を外れてしまうため迂回した
  • 結果として宇都宮上三川IC付近は発展した
  • おこぼれ的に真岡も発展した
  • 栃木都賀JCTと岩舟JCTの間は東北自動車道に合流(渋滞名所)

ではまた。

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