「東成田駅」訪問記。実は成田空港へ安く行く一つの手段です。

スポンサーリンク
鉄道
この記事は約8分で読めます。

成田空港の敷地内にある東成田駅は、かつて成田空港駅として活躍した空港ターミナル駅の現代の姿です。昭和で時が止まった構内を垣間見ることができることから、見物客も見られます。当駅から第2旅客ターミナルまで地下通路を通って行くことができます。加算運賃が半額となるため、空港第2ビル駅を利用するよりも安価になります。500m離れており、節約に見合うとはいえませんが、この駅に興味があるなら一石二鳥。ぜひお立ち寄りください。

1990年以前に成田空港から海外に行かれた方へ。
そのとき、おそらく当駅を使っています。当時を懐かしみながらお読みください。

スポンサーリンク

東成田駅とは

京成線と芝山鉄道の駅

東成田駅は、成田空港の敷地内にある京成線と芝山鉄道線の駅です。

京成が管理する駅ですが、京成東成田線の終着駅であり、この先は別会社(芝山鉄道)となります。

全列車が芝山鉄道線と直通運転し、車両も乗務員も芝山千代田まで交代することなく行っていますから、意識して区別しなくても大丈夫でしょう。

ただし、PASMOが使えるのは当駅まで。芝山鉄道線では使えないので気を付けましょう。

成田空港敷地内に位置

東成田駅は成田空港の敷地内にあります。具体的には、このあたりです。

出典:国土地理院Vector(こちら)に筆者追記

滑走路に囲まれた成田空港の中心にドーン!と鎮座しています。第1ターミナルと第2ターミナルの間に挟まるエリアです。

この駅は第2ターミナルと地下通路で繋がっています。

とはいえ、成田空港にはターミナル直結の駅が既にあるはず…

なぜわざわざこんな駅を作ったのか?

元祖・成田空港駅

…といえば、順番が逆です。

もともと、成田空港内には当駅しかあらず、お客さんを成田空港に運ぶための唯一の鉄道駅として活躍しました。

元祖・成田空港駅が、今の東成田駅。

しかし、その歴史を辿ると、様々な外的要因に右往左往されてきた苦しい様子が垣間見られます。

まずは東成田駅の様子をご紹介したあとに、その足取りを追いかけてみましょう。

東成田駅を利用すると安くなる点についても触れます。

東成田駅の様子

列車は40分に1本程度

まず、東成田駅にどうやって行くか…

京成成田駅が唯一の玄関口となります。

ここから「芝山千代田行き」に乗車します。

朝晩には上野方面への直通列車も設定されているようですが、日中は京成成田~東成田~芝山千代田をひたすら往復するダイヤとなっています。

本数も40分に1本程度と、多いとは言えませんが、乗客の数もまた、多いとは言えない状況。

京成成田駅を出発すると、途中の駒井野信号場というところまでは、成田空港行きの電車と同じ線路を走っていきます。

東成田駅に到着

けたたましい轟音と共にトンネルを走った先に、決して十分明るいとは言いがたいプラットホームに到着します。

ここが東成田駅。

2面4線の広い構内を有しますが、今は1面2線しか使われておりません。

電車は乗客の乗り降りが済み次第、すぐに発車していきます。廃墟となろうかという空間に取り残される、非日常体験が始まります。

プラットホームの様子

列車が去った後のプラットホーム。

静まり返ります。

お 気 づ き だ ろ う か …

上記写真の鏡には…?

…いや、何も映ってませんよ。大丈夫。

でも、耳を澄ますと、頭上で稼働する機械の音が「ジーーー」と聞こえてくる他は無音。ビビる必要はありませんが、何も知らずに来るとちょっと怖いかもしれません。

往年はひっきりなしに人が行き交っていただろうと思わされるエスカレーターにも、古めかしさが残ります。上り専用として、40分に1回やってくるお客さんを待っています。下り用エスカレーターはフタをされています。

駅名標は「東成田」とだけ書かれ、ここが成田空港のど真ん中に位置しているとは到底思えないものです。

コンコースの様子

1つ上の階に上がるとコンコースです。

ここも懐かしい雰囲気が残っています。

出口という字体も味わい深いですね。

柵の向こうを覗くことができ…

チラリと見える店舗の看板に、かつて使われたネオンの造りが残ります。

トイレもあります。

しかし、駅の至る所に薄暗い空間が残され、壁も傷んできています。こういうところが廃墟と言われる所以かもしれません。

唯一、新しく刷新された改札口を抜けると、改札外にも昭和の雰囲気が。

柱を囲むように設置されたベンチや、かつては広告費を払っていたであろう看板もうっすらと残っています。

訪日観光客を出迎えていたであろう壁画も残されています。

そんな空間の中にも、東成田駅が設置された背景を説明するお手製の看板や、歴代スカイライナーの写真が飾られています。興味本位で見学に訪れる人も一定数いるのでしょうね。

第2ターミナルへの連絡通路

東成田駅を脱出するルートは2つあります。

一つは電車で京成成田に戻るルートですが、もう一つは第2ターミナルに抜ける方法。一応連絡バスもあるようですが、案内に従っていくと警備員さんのいるゲートにたどり着きます。

第2ターミナルまでは歩いて行けます。東成田駅のコンコースに、このような通路が設けられていて、ここを歩いていけばあっという間に着きます。

…いや。

片道500mの細長い通路を5分くらい歩けば着きます。

この通路は途中で折れ曲がる構造になっていますが、それ以外はずっと真っ直ぐなので、逆に不気味さを増すかもしれません。

第2ターミナル寄りの通路には資材が置かれていることもあるようです。

無数のカメラにこんちゃこんちゃしながら進み、

最後の上り坂を上っていくと、急に賑やかな雑踏が聞こえてきたかと思えば、そこは空港第2ビル駅前です。

一応、現代でも空港アクセスとして「使える」ということになります。

東成田駅に残る成田空港駅の痕跡

先ほどから東成田駅が旧・成田空港駅であると繰り返していますが、その痕跡をたどることができます。

駒井野信号場の構造

まず、東成田駅に到着する前に、駒井野信号場というところで感じることになります。

駒井野信号場は、京成成田駅と空港第2ビル駅・東成田駅の間に設けられた分岐点で、ここでどちらに向かうかによって到着駅が変わります。

今では京成東成田線の起点になっているのですが…

京成本線から成田空港方面に向かう線路がまるで支線であるかのような造りになっています。

空港方面に向かう本線が55km/hの速度制限(出典:Wikipedia)を受け、分岐点のポイントを高速で直進すると東成田駅に到着するのです。

出典:国土地理院Vector(こちら)の地図上に筆者追記

構内に残る「成田空港」の表示

今では使われていない東成田駅構内のホーム。

よく見ると

東成田ではなく「成田空港」と表示が残っています。

かつて、ここが正真正銘の成田空港駅であったことの証とも言えるでしょう。

ちなみに、上記の看板は私の肉眼では見えませんでした。ズームしたうえで浮かび上がらせて、初めて確認できました。

数多く残る設備

今では1つ残る改札口ですが、構内の至るところに複数の階段が設けられていたことが分かります。

柱の周囲に設けられたベンチや広い空間が、多くの人の待ち合わせ場所として機能していたことを伺わせます。

利用客数に見合わないほど大きな階段が、かつて列車でやってきた大量のお客さんを捌く必要のあった駅であったことを物語っています。

みなさんも、様々な角度から痕跡を探してみてくださいね。

なぜこんなところに作ったのか

そもそも、なぜこんな場所に旧・成田空港駅を設置したのかと疑問に思いますよね。

実は、開港当初からターミナル直下に駅を設置する計画はあったのですが、国がそれを許しませんでした。

「どうしても成田新幹線を作りたい」

という願いから、ターミナル直下の一等地は新幹線用として残されたのです。

なるべく早く空港アクセス路線を設置したかった京成電鉄は、とりあえずターミナルから離れた場所に駅を設置することに。

その後、成田新幹線の計画が頓挫すると、ターミナル直下の一等地を在来線用に開放することに。

その魂を受け継いだ京成スカイライナーが、在来線最速のスピードで走っていますが…

その一方で、東成田駅は空港アクセス用途としての機能を失うことになり、以降は現在に至るまで大きな動きがありません。

東成田から先については動きがあり、成田空港建設の見返りとして新たな鉄道「芝山鉄道」が建設されました。

東成田駅から接続するように東へ向かうのですが、不運にも空港反対派の土地の直下を通ることになってしまいました。無理やり避けるように不自然なカーブが設置され、高速での運行はできませんが、それでも空港を跨いで東側に出る鉄路は完成。今後の延伸も期待されています。

東成田駅利用で「70円節約」できます

ここまで読んでいただければ、「面白そうだけど縁がなさそうな駅」であることがお分かりいただけたと思います。

でも、ここはれっきとした駅でありますから、誰でも利用することができます。

前述のように、空港第2ビルまでの通路が用意されていますので、空港アクセス駅としても利用が可能。

この駅を使うと、空港第2ビル駅と比較して運賃が安価になることが知られています。

この原因は、成田空港内に乗り入れる京成線に設定された加算運賃にあります。

成田空港への加算運賃
・空港第2ビル及び成田空港:140円
・東成田:70円

どちらにも加算運賃はかかってしまうものの、その差が70円も開いています。

つまり、東成田駅から空港に行けば、70円安くなるということです。※一部の駅は異なる可能性があります

70円のためだけに東成田から長い通路を歩いてアクセスするのは本末転倒のように思いますが、興味本位で東成田駅を覗いてみたいというのであれば一石二鳥。

機会があり、気分が乗れば、ぜひ活用してみてください。

まとめ

東成田駅を訪問し、以下の知見を得ました。

  • 東成田駅は、かつての成田空港駅である
  • 成田空港の真ん中に位置している
  • 駅構内には、空港駅時代の痕跡が残る
  • 第2ターミナルとの間に地下通路がある
  • 加算運賃が安価で、節約に繋がるが、労力が見合わない

ではまた。

タイトルとURLをコピーしました