京成電鉄の全69駅中、群を抜いて最も利用者が少ない駅が「大佐倉駅」です。2面2線のホームには跨線橋がなく、構内踏切が残ります。自動改札機はわずか1台。周囲に立ち寄れるようなスポットはありません。京成の秘境駅としても知られていますが、成田空港に向かう特急も停車し、やってくる列車は混雑しているという、単なる秘境ではない「異色な雰囲気」を味わえる駅となっています。日中は駅員が常駐している(=無人駅ではない)ため、改札を出ずにホームに立ち寄るだけなら追加運賃は不要です。
大佐倉駅とは
大佐倉駅は、京成本線の途中駅です。
京成佐倉から1駅、成田空港寄りに位置しています。
京成電鉄の全69駅中、群を抜いて利用者が少ない駅となっています。ちなみに第1位の「押上駅」の1/500レベルで、同じく周辺に何もない「成田湯川駅」や、昭和の時代から時が止まる「東成田駅」よりも少なくなっています。
【2022年度】押上駅
乗降客数:188,833人
(定期117,412人/定期外71,421人)
【2022年度】大佐倉駅
乗降客数:311人
(定期160人/定期外151人)
一方、乗降人員の内訳をよく見ると、定期外利用と定期利用の人数がかなり近いことに気付きます。定期外利用の比率が高くなるのは、住宅地を外れ、観光地や大規模商業施設、交通の主要駅等でよく見られる現象ですが、この駅においても見られるのは面白いですね。
で、このページを見ている人は既に知っていると思うので、先に言っておくと。
何もありません。
特急が停車します
何もなく、利用人数も極めて少ない大佐倉駅ですが、実は特急停車駅。
「なぜ止めるのか?」
「停まってないで急いだら?」
と疑問に思いますよね。
これには京成線のダイヤ構成が影響しています。
ほとんどの普通列車は津田沼や臼井までで、その先に向かう列車は快速や特急が多くを占めています。これらの種別は、利用客数の大小よりも、区間ごとに「各駅停車」とする設定がなされています。
普通:全ての駅に停まる
快速:京成津田沼から各駅に停まる
通快:勝田台から各駅に停まる
特急:京成佐倉から各駅に停まる
快特:全区間に通過駅設定あり
大佐倉駅では、特急以下の種別は全種別停車となっているのです。
仮にでも大佐倉駅を普通のみ停車とした場合、下り列車において「0942の次は1824」となってしまいます。
都心~成田間におけるJRへの対抗馬「快速急行」とライナーは通過します。
駅のようす
こう見えて、大佐倉駅は有人駅です。困ったことがあったら、駅員さんを頼りにすることができます。
その前提の上で…
自動改札機がポツリと一台。券売機もポツリと一台。
上り方面のホームに行く場合は構内の踏切を渡る必要があります。
ちなみに上記写真の手前側の踏切が構内、奥側は公道の踏切です。
夕暮れ時に行くと哀愁漂います。
駅周辺の様子
駅の周辺には何もありませんが、駐輪場には自転車が停まっています。ここから(まで)自転車を利用する人も多いのかもしれません。
しかし、駐輪場の先には部外者が行ってはいけないかと思い、引き返します。
駅の反対側も同じ感じ。
少し歩くと、上野寄りの踏切にたどり着きます。ここから鉄道車両を見ることができます。
う~ん、それくらい。
大佐倉駅のいいところ
大動脈の秘境
この世に「秘境駅」は山ほどありますが、大佐倉駅は秘境でありながら、都心と成田を結ぶ大動脈の通り道。
成田空港に向かう特急(快速)列車が20分に1本やってきます。
秘境と雑踏の狭間にあるのが大佐倉駅。
その視点で立ってみると面白いかもしれません。
都会では珍しい構内踏切
田舎に行けば当たり前のように存在する「構内踏切」ですが、京成線でも見られるとは思いませんでした。
かつてはスカイライナーも通った幹線において、構内踏切の体験ができるのは貴重かもしれません。
手軽に味わえる静けさ
例えば飯田線の秘境駅に行けば、次の電車は何時間後でしょうか?
ここ、大佐倉駅であれば、20分後には次の電車がやってきます。
駅の構内で待つのも苦にはなりません。
こんなに手軽に味わえる「静けさ」はなかなかないでしょう。
また、駅で途中下車をする必要もありません。先行列車で到着し、ホームに降り立って、次の電車で先に進むのであれば、運賃は通しで大丈夫です。
駅の周りには何もありませんから、当駅で折り返さない限りは出る必要はないでしょう。
まとめ
大佐倉駅を訪問し、以下の知見を得ました。
- 大佐倉駅は京成線の途中駅
- 京成線の中で最も利用者数が少ない駅
- 利用者数に似合わず「特急停車駅」
- 周辺には何もない
- 手軽に味わえる秘境駅
成田湯川駅を訪問した記録は下記が参考になります
東成田駅を訪問した記録は下記が参考になります。
ではまた。