JL3009便とJL3004便は、かつてJL3007便とJL3002便として運行されておりました。当記事中の搭乗レビューでは筆者搭乗時点の便名(JL3007便)で説明しています。
成田ー伊丹を結ぶJAL便は通常2往復設定されていて、そのうち1往復は国際線機材が充当。ビジネスクラスなどの上位座席をクラスJとして運用。記事後半に搭乗レビューあり。
かつては大型機材(B777)で運行されていた同便も、国際線の羽田シフトが進み、小型化しています。コロナ禍で運休中だが、事態が収束した後の復便を望む声も聞かれます。
JL3009便とJL3004便について
成田ー伊丹線の存在意義
国内線の主役は「羽田」
東京から飛行機で国内に飛ぶ場合、多くの方は羽田空港を利用することになります。LCC利用の場合は成田空港発着となりますが、JALやANAを利用する場合は、本数も少なく、都心から離れている成田空港までわざわざ行く必要もないと考えるのが一般的でしょう。
それではなぜ、JALやANAにも成田を発着する便が設定されているのか。
その答えは、国際線との乗り継ぎにあります。
JALが成田発国内線を飛ばす理由
かつて、東京を発着する飛行機で「国内線は羽田」「国際線は成田」という役割分担がありました。
首都圏に住む人にとっては、国内なら羽田空港に行けばいいし、海外なら成田空港に行けばいいだけの話。しかし、地方に住んでいる人にとっては「羽田ー成田間の移動」を伴うため、致命的なのです。
そこで、地方から成田経由で海外に向かう人がスムーズに乗り継ぎできるように便宜を図るため、成田を発着する国内線が数便運航されているのです。
成田ー伊丹線の状況
関西圏に在住する人が成田経由で海外と行き来する際に便利な路線が「成田ー伊丹線」です。
コロナのない世界線では1日2便設定。時刻も成田発着の航空機が多い時間に合わせて運航されています。
便名 | 成田空港発 | 伊丹空港着 | 使用機材 |
---|---|---|---|
JL3005便 | 16:55 | 18:20 | B737-800 |
JL3009便 | 18:20 | 19:55 | B787-8 |
便名 | 伊丹空港発 | 成田空港着 | 使用機材 |
---|---|---|---|
JL3004便 | 08:00 | 09:20 | B787-8 |
JL3006便 | 14:40 | 16:05 | B737-800 |
JL3009/JL3004便の特徴
機材繰りについて
前項の時刻表のうち、JL3009便とJL3004便に使われているB787-8という機材が、国際線仕様になっています。
B787-8はヨーロッパやアメリカまで給油無しで到達できる性能を有する機材ですが、なぜこれを国内線で飛ばすのか。その理由は実にシンプル。
- 「成田に国内線機材が少ない」から。
- 「国際線機材が多く、時間帯によっては余り気味」だから。
JL3009便は、長距離便の国際線が成田に帰ってきてから、翌日の再び海外に出発する前の間、眠らせておくくらいなら国内線として活用しようと設定されているのです。
ヨーロッパなどから帰ってきた機材がほんの少しの休憩をはさんで伊丹に飛ばされるというパワハラ運用(笑)ですが、航空会社としては効率的な機材繰りですよね。
羽が折れそうなくらいしなっているのがB787-8の個人的に感じている特徴。
※折れません
座席について
座席も国際線仕様。普通席は通常の国内線とほとんど変わりませんが、特筆すべきは、プラス1000円で指定できるクラスJ。
通常、万単位でプラスしないと利用することのできない国際線のビジネスクラスの座席がクラスJとして開放されているのです。
これは航空ファンの中では広く知られていて、これを目当てにわざわざ成田までくる人も。
以下はB777のビジネスクラスの写真ですが、
フルフラットになる座席ですので、したい人はぜひどうぞ。ただし、伊丹はすぐ着きます。
隣の人とのソーシャルディスタンスも確保。通常は覗かれる心配もありません。
マニア向け補足
時刻表をよく見てください。JL3005便とJL3006便、JL3009便とJL3004便はセットで運行されているのですが、
JL3009便とJL3004便は成田をベースとして運行され、伊丹に到着後に一泊して翌朝すぐに折り返しているのが分かります。成田発着の伊丹行きなので、国際線機材の間合い運用となります。
一方、JL3005便とJL3006便は伊丹をベースとして運行され、成田に到着後すぐに折り返しているのが分かります。伊丹発着の成田行きなので、こちらは国内線機材で飛ばすことが出来るのです。
ちなみに、ファーストクラスの座席もクラスJとして開放されますが、指定できるのは、国際線ファーストクラス利用者や上級ステータスを有する会員などに限られます。
最近の動向
さて、さかのぼること数年。
JL3009便はJL3007便として運航されていたのですが、使用機材はB777という最大クラスの機材が充当されていました。しかも、満席近いお客さんが乗ることも。
しかし、最近は同便の機体小型化が進んでいて、B767で運航されることもありました。
これには、国際線の羽田シフトが影響しているとの見方が強いです。羽田から行ける海外が増えたことで、地方利用者が成田に来る機会が少なくなったということですね。
実際に乗ってみた
2013年現在、B777型機が使われていた当時のお話です。
1000円で国際線のビジネスクラスの座席に座れると知った貧乏人(私)は、京成線で成田へ。ちなみに、貧乏なので、スカイアクセス線経由よりも運賃が安い、京成本線経由での到着(笑)。
国際線がメインの成田空港。別のフロアにひっそりと、国内線のカウンターがあります。
ここで搭乗券を受け取ります。
成田空港国内線の制限区域内に入ると、こんな扉を目にします。
実は、この扉の向こうは出国手続き後の免税エリア。
今回使用する機材が到着するロビーは、航空機が到着した時点では国際線だった(扉開放)。しかし、これから飛ばすのはあくまで国内線なので、扉を閉めて仕切ってしまい、国内線のロビーとして運用しているのです。柔軟な運用をするために重要な役割を果たしています。
そんな感じの搭乗口から出発となるため、機内に入って隣を見ると、海外の飛行機が見えます。
エミレーツ!しかも、オール2階建てのA380。66番ゲートからドバイに向けた準備中です。
機内はこんな感じ。シェルフラットシートと呼ばれるもので、前の人がリクライニングを思い切り倒しても背もたれが微動だにしない快適仕様。現在のようなフルフラット型の座席ではありませんでしたが、とても楽しい時間を過ごせました。
隣の座席との間にも十分な間隔があり、同行者であればドリンクを置くことも可能。
ちなみに、夕方の成田空港は滑走路が混雑しているため、離陸まで想像以上に時間がかかります。遅れることも多いので、伊丹から先がある人は念のため注意した方がいいでしょう。
私は翌日の結婚式出席に備えて、伊丹空港内の大阪空港ホテルに宿泊しました。空港直結で快適でした。
終わりに
現在、成田ー伊丹線は運休中です。
成田発着の国内線は地味な存在ですが、コロナが収束し、国際線の活況が戻った際には、再び活躍してくれることを願います。
- JL3009便/JL3004便は国際線機材が使用される
- 国際線機材使用時、ビジネスクラスはクラスJとして開放される
- 近年は機材の小型化が進んでいる
世界中を飛び回れる日が戻りますように。