「年1回、飛行機乗りますか?」
一回入会すれば脱退しない限り半永久的に一定のステイタスが確保される「JALグローバルクラブ(JGC)」。簡単には入れないJGCを解約するのはもったいないのですが…コロナ禍で飛行機に乗る機会が激減する中、JGCの解約を検討する人も。ネックとなるのは年会費。ポイントとなるのはボーナスマイル。あなたはどうする。今こそ落ち着いた判断をしましょう。ちなみに2024年からはJGCへの入会基準が厳しくなりますので、解約は慎重に。
JGCとは
この記事を読んでいる人には分かりきった内容かもしれませんが、あまりに飛行機に乗らないがゆえに、往年のルールを忘れているかもしれないので、軽く目を通してもらえると嬉しいです。
JGCに入会するには
JGCを保有するあなたは、過去にこんなことを達成した1年があります。
- JALマイレージバンクのサファイア以上のステイタスを獲得した。
- 飛行機にたくさん搭乗し、50回/年以上を記録した。
- 飛行機で世界を飛び回り、50,000Fly on Pointを獲得した。
ざっくりですが、上記がサファイアステイタスを獲得する(=JGCに入会できる)条件になっています。
このステイタスのレベルは、その道の人に言わせれば中くらい。それでも、一般人から見たら雲の上のような存在。
出張が多かったり、過度に旅行が好きな人であれば自然に達成しますが、自然の搭乗では届かずに、諦めきれなかったあなたは…
- 那覇ー羽田ーシンガポールー羽田ー那覇…って搭乗してみたり、
- 那覇ー石垣ー那覇ー石垣ー那覇ー宮古ー…と往復幅跳びしたり、
- おともdeマイル割引同行者で搭乗するために妻を巻き込んだり、
とにかく頑張りました。たくさん頑張りました。
基準に達した瞬間、案内を待つことなくデスクに電話しました。
そして、念願のカードを手に入れたんですね。
決めつけましたが、違ったらすみませんね。はい。
JGCのメリット
なぜそこまでして、あなたは血眼になりながらJGCを獲得したのか。
それは、得られるメリットがあるから。
単なる見栄ではない、JGCによって得られる特権がありました。
例えば以下のようなことが、年間の搭乗実績にかかわらず約束されたのです。
- 航空会社ラウンジが使える
- 優先カウンターが使える
- 優先搭乗ができる
- 荷物が先に出てくる
- 指定できる座席が増える
- 毎回搭乗時に割増マイルがもらえる
- 年間初回搭乗時にボーナスマイルがもらえる
ここまでは公式に発表されていますね。
それ以外にも表には見えないメリットがありましたよね。
- 国際線でなぜかビジネスクラスにアップグレードされることがある
- ビジネスクラスのシートがJGC向けエコノミークラスとして運用されることがある
- クラスJ搭乗時に、なぜか名前で呼んでくれることがある
- (若手限定)CAさんに「飛行機たくさん乗られるんですか?」って聞いてもらえる
- (若手限定)国内線ゲート通過時に、一瞬「え!?」って空気感になる
最初の2つは別にして、あとはどうでもいい些細なことだけど、でも気持ちの悪いものではありませんでした。
普通席の最前列、15A席に座ったぞ~なんて喜んだ日もありましたよね??
わかります。「そんなのどうでもいい」と見栄を張りたいのは。
でも、気分を良くしたこともあるはずです。心に手を当ててみてください。そうですよね。
JGCの解約を考える理由
あなたは今、一生懸命手に入れたJGCを手放そうとしています。
突き放すわけではありませんが、
その考えは正しい可能性があります。
だからこそ、落ち着いて判断しましょう。
JGCを維持するにはJALカード(CLUB-A以上)の年会費を払う必要があります。家族会員がいれば、その分も必要です。たとえ飛行機に一度も乗らない場合であっても、年会費は必ず必要です。
年会費はカードにより異なりますが、約11,000円が相場です。夫婦なら、その2倍です。
JGCは飛行機に乗ったときにはじめてその効力を発揮するのに、飛行機に乗らない人が維持し続けても年会費のムダ。
そして今、世の中は終わりの見えないコロナとの戦いが終わりそうかと思いきや、出口の見えない円安に苦しみ始めています。
来年も再来年も、いや、我々がこの世を離れるころまで苦境は続くかもしれない。
もう、海外に行くことは無いだろうし、国内も新幹線で十分…
もし、本当にそうなってしまえばJGCは完全に不要です。
自暴自棄になってJGCを捨てようとする気持ち、よくわかります。
年1回でも乗るなら世界が変わる
そろそろ結論を出します。
Q.「年1回、有償航空券で飛行機に乗る機会はありますか?」
「はい」か「いいえ」で答えてください。
この質問に対し「はい」を選んだ方は、何も考えずにJGCを継続してください。
一方、間髪入れずに「いいえ」を選んだ方は、次の更新までに解約する決心を。
年会費は初回搭乗ボーナスで元が取れる
初回搭乗でもらえるマイル数
JALカードを持っている人がJALの飛行機に乗ると、毎年最初の(有償)搭乗時に以下のマイルが付与されます。
カードの種類 | 毎年初回搭乗ボーナス |
普通カード | 1,000マイル |
CLUB-A, CLUB-Aゴールド ダイナース, プラチナ | 2,000マイル |
JGCの対象カードはCLUB-A以上に該当するので、2,000マイルもらえることになります。
さらに、JGCの場合は「JGCボーナス」として、3,000マイルが加算されます。
その結果、JGCを保有する人が毎年最初に(有償)搭乗するときには5,000マイルもらえることになります。【重要】
1マイルの価値
一方、航空業界の常識になりつつあるのが【1マイル>1円】であるということ。
単純に航空券に変えることの出来るeJALポイントに変えたとしても1マイル=1.5円です。
国際線(乗れるかどうかは別として)のビジネスクラスの特典航空券に交換したり、往復6,000マイルで日本のどこかに飛べる「どこかにマイル」に申し込むのであれば、運が良ければ1マイル=10円以上の価値を出すこともあります。
年1回でも飛行機に乗るなら「継続」
毎年1回でも飛行機に乗ればもらえる5,000マイルは、多くの場合で年会費以上の価値を発揮します。
そのため、毎年1回でも飛行機に乗るのであれば、JGCとしてのステイタス云々をすべて無視したとしても元が取れる、ということがお分かりいただけると思います。
よって「年1回でもいいので、有償航空券で飛行機に乗りますか?」 という問いに即答で「はい」と答える人は、何も考えずにJGCの保有を続けてください。
コロナ禍にもかかわらず、この期に及んで飛行機に乗る人(筆者もそうです)であれば、今後も継続して利用することが予想されますので、なおさら「継続」が正しい道です。
JGC解約などという邪念(笑)は捨てて、今後も精進してください。
年1回すら乗らないなら解約を
問題は、飛行機に全く乗らない人です。
何のためにJGCを持っているんですか?見栄ですか??
事実として飛行機に全く乗らず、今後も乗るつもりがないというのであれば、手元のカードはただの黄色いプラスチック板です。
今すぐとは言いませんが、次回の有効期限月までに考えが変わらないのであれば、解約が正解です。
私が自信をもって背中を押します。
解約しましょう。
注意点
ここまでの説明で、年1回でも乗るならJGC継続が望ましいことはお分かりいただけたかと思います。
しかし注意点が1つだけあります。
毎年初回搭乗ボーナスは「有償航空券」が対象になります。
マイル交換で搭乗する「特典航空券」や「どこかにマイル」「おともdeマイル割引(本人)」は対象になりませんので、その点は注意が必要です。
マイルを直接特典航空券に変えると対象外ですが、eJALポイントに変換して航空券代金に充てる場合は対象になります。
なお、特典航空券でしか乗らない…という場合であっても、JGCの特典は利用できるうえ、今後も乗る機会がありそうな人材なので、今年に毎年初回搭乗ボーナスがもらえないとしてもJGCは継続が吉と思います。
2024年以降に「動き」があります
新ステイタス制度の導入
2024年からJALのステイタスプログラムにメスが入ります。
具体的には、JGCへの入会基準が「年ごと」ではなく「生涯」に変更になるとのこと。
これまでは年間50回乗ればJGCに入会できましたが、例えば国内線だけで判断すれば生涯300回の搭乗が必要になります。
JGCをやめてしまうと、二度と入れないと思った方が良いかもしれません。それくらい、厳しい基準に改訂されています。
逆に、(あまりいないかもしれませんが)既に基準をクリアしている方であれば、JGCをやめてもほぼ同様のサービスを受け続けることができるとも言えます。
解約をお考えの方も、一旦保留にして見定めるのがいいかもしれません。
新ステイタス制度について
>> くわしくはこちら
ショッピングマイルプレミアムの値上げ
JALカードを利用すれば200円=1マイルが貯まりますが、「ショッピングマイルプレミアム」に入会すると100円=1マイルで貯まるようになります。
ただし、ショッピングマイルプレミアムには3,300円の年会費がかかり、さらに2023年6月以降、4,950円に順次値上げになっています。
単純に「年間49万5000円以上の買い物」をJALカードでしない限りは元が取れません。
JGCを解約する前に、まずはショッピングマイルプレミアムのリストラを考えるといいでしょう。
まとめ
筆者自身も、JGCカードをリストラ候補に入れて悩みました。その結果、以下の知見を得ましたので共有しました。
- 飛行機に全く乗らないのであれば「JGC解約が正解」
- 年1回でも有償航空券で搭乗するなら「JGC継続が正解」
- 特典航空券でしか乗らない場合は「引き続き検討要だが基本的には継続が正解」
この記事によって、JGCを継続すべき人の落ち着きを取り戻すことができていたら幸甚です。
そして、解約すべき人の背中を押せたのであれば…まぁちょっと複雑ですけど、目標達成です。
ではまた。