青春18きっぷで長距離を旅行する場合、途中で何回も乗換が発生します。その度に「次の列車でも座ってやろう」と、終点到着前に車内を歩いてポジションを取り、駅で荷物を抱えてダッシュする人を見かけますが、大変危険ですのでやめましょう。特に長時間にわたって座りっぱなしだとエコノミー症候群となるリスクもあります。1本やり過ごして乗換駅周辺を散策したり、あえて立って移動する区間を設けるのも一案です。乗換回数よりも沿線都市の状況を見ながら計画するのも吉。青春18きっぷでの旅を単なる苦行と思うなら、手を出してはいけません。
アイキャッチ画像:夜中の名古屋駅に疲れ切って到着した時に撮影したブレブレの写真
青春18きっぷの旅
青春18きっぷは、0時から24時までJR全線の普通列車が乗り放題となる企画乗車券です。1日あたり2410円(2021年現在)で、距離の制限は一切ないため、乗れば乗るほどおトクになる格安の乗車券です。
しかし、たとえ特急券を買ったとしても新幹線や特急列車には一切乗ることが出来ません。そのため、普通列車縛りの旅となります。
かつては長距離を乗り換えなしで走りぬく普通列車が多く存在しましたが、各地で運用の合理化が進み、断片化。さらに「変わり種」である臨時列車の運行も激減しました。
その結果、青春18きっぷを使った旅行の際に乗り換える回数が増え続けているのが最近の傾向です。
例えば2009年の夏の場合、郡山駅から盛岡駅までぶっ通しで走り続ける「夏休み東北縦貫号」という列車が運行されましたが…
2021年の夏に郡山から盛岡まで行く場合は、
- 郡山→福島
- 福島→白石
- 白石→仙台
- 仙台→小牛田
- 小牛田→一ノ関
- 一ノ関→盛岡
と、最大5回の乗り換えが必要です。
乗換ダッシュについて
列車での移動中、一般的には着席したい人が多いはずです。
そのため、各終着駅では我先にと走って乗り換える人がいて、特に長編成から短編成への乗り換えの際に民族大移動とも呼ばれる集団ダッシュが発生することもあります。
乗り換えるときに走る行為を、頭に駅名をつけて〇〇ダッシュなどと言うことが多いです。有名どころでは、
- 東京方面から静岡方面に向かう際の「熱海ダッシュ」
- 名古屋方面から京都方面に向かう際の「大垣ダッシュ」
- 仙台方面から福島方面への「白石ダッシュ」
- 高崎方面から長岡方面への「水上ダッシュ」
など、挙げ始めるとキリがありません。
全国には私も知らないたくさんの名所があると思いますが…
大きい荷物をもって走るのは大変危険な行為ですので、やめたほうがいいですね。(※やめろと言える立場ではないので強くは言えませんが)
対策1:寄り道をする
接続が良好なダイヤにはみんな着目します。なので、混雑します。
これはもはや自然の摂理です。
逆に言えば、接続がよろしくないダイヤに着目して移動すると、混雑をうまく避けて着席できるようになることがあります。
例えばA駅からB駅までは本数が比較的多く、B駅からC駅までの本数が限られる場合、
【1】A駅(11:30)→(13:00)B駅
【2】A駅(12:00)→(13:30)B駅
【3】B駅(13:35)→(14:25)C駅
青春18きっぷで旅する多くの人は【1】【2】どちらを選ぶでしょうか?
たいていの人は【2】を選ぶと思いますが、快適に旅行をしたいなら【1】のダイヤを選んでB駅まで先に進むのが正解です。
B駅で時間ができてしまいますが、天気が良ければ駅前を散策することもできるし、カフェや待合室があれば休憩することもできますよね。売店でお土産を探すこともできます。
ちなみにB駅で散策した後は、13:30の前に【3】の電車に乗り込んでおくこと。こうすることで混雑が予想される【3】の列車でも着席が確保できますよ。
対策2:立ち席で移動
繰り返しになりますが、接続が良好なダイヤにはみんな着目します。なので、混雑します。
では、混雑する区間ではあえて立って移動するのはどうですか?
【1】A駅(11:30)→(13:00)B駅
【2】A駅(12:00)→(13:30)B駅
【3】B駅(13:35)→(14:25)C駅
先ほどの例になりますが、上記の場合は【2】→【3】の乗り換えでダッシュが発生します。
でもここは落ち着いて。このダッシュには参戦しないこと。
【3】での移動はたったの50分ですね。50分くらい、余裕で立っていられます。
逆に、50分程度も立っていられないほど体力が落ちているのであれば、青春18きっぷで旅行に出かけてはいけないんしゃないかと。
人と人に挟まれた狭い空間に座るより、立っていた方が自由に身動きが取れて楽で、景色がいい区間であれば写真も撮り放題だから好都合…ということもよくあります。
座ることに執着せず、一部を立って移動することも試してみてください。意外と苦ではないですよ。
対策3:にぎやかな沿線を進む
大都市間の移動で複数のルートが存在する場合、どちらを選びますか?
- 乗換回数が少ないけど、経由地が大都市ではないルート
- 乗換回数が多いけど、経由地が大都市のルート
分かりやすい例でいうと、東京~仙台間が挙げられます。
東北本線のルートで分断が進み、宇都宮・黒磯・新白河・郡山・福島・白石での乗り換えが必要になっています。
一方、常磐線のルートでは、水戸・原ノ町のみの乗り換えで到達できるダイヤもあり、注目されることもありますが…
私であれば東北本線のルートを選びます。
疲れたら降りればいいし、乗り換え駅も大きい駅ビルを備えていることが多いので、休むところにも困らない。乗換は面倒かもしれませんが、見方を変えればリフレッシュにもなります。
常磐線をひたすら進むのは苦行かもしれません。大規模な駅ビルを構えているのは水戸駅のみです。
もちろん、常磐線にも沿線に見どころがありますので、そこを重要視できるのであれば上記は無視して進みましょう。
青春18きっぷにまつわる考え方の変化
私も物心がついたころから青春18きっぷにお世話になっていましたから、「青春18きっぷ1回分でどこまでいけるか」ということに焦点を当てすぎて、ご飯もろくに食べずに無理な乗り換えを一日中繰り返し、まさに東京から九州まで一気にめざす勢いで旅行する気持ちがよく分かります。
それがですね、慣れてくると変わるんですね。
どうすれば快適に過ごすことが出来るか、という点に注目するようになります。東京からであれば、せいぜい名古屋や仙台くらいまで移動できればちょうどいい。
それ以上先をめざすなら、新幹線や飛行機の割引きっぷをうまく使って移動したほうが効率的です。
「いやいや、新幹線や飛行機では味気ない。普通列車の旅も捨てたものではない!」
…という気持ちはよく分かりますが、それならなおさら、ドタバタと乗り換えをするのはやめませんか?
まとめ
青春18きっぷを使って旅行するときは
- 寄り道をしてみる
- 着席に執着せず、立ち席で移動してみる
上記2つの要素を組み込んでみてください。
ではまた。