千葉県印西市の中心部「千葉ニュータウン中央」には北総線が通っており、都心から直通で行くことができます。しかし、北総線は(値下げをしたとはいえ依然として)運賃が高く、まるで印西市への侵入を拒むかのように立ちはだかります。そんな印西市ですが、検索アプリでは決して教えてくれない、北総線を使わない”裏ルート”があります。成田線木下駅を拠点としたコミュニティバス「ふれあいバス」(100円/乗車)を使うことで北総線回避が可能。無料の乗継システムをうまく使って、印西市を賢く巡りましょう。
印西市とは
県北部の都市
千葉県印西市は、県北部に位置します。124km2の広さを誇る市町村で、北部では茨城県とも隣接。東部には利根川水系の湖沼・印旛沼があります。
人口は10万人規模。近年では「子育てしやすい街」の一つとして取り上げられることも増えてきました。
この記事では、印西市の交通について取り上げていきます。
北総線が表玄関
目を引くのは都心と印旛日本医大・成田空港を結ぶ「北総線(成田スカイアクセス線)」です。市の中心を東西に貫き、都心と成田空港の連絡線として大活躍しています。
私鉄としては最高速度を誇る京成スカイライナーの通り道にもなっていて、「印西市に行ったことがない」という人でも、成田空港に行くときには印西市の東西をハイスピードで横切ったことならある、という人が多いでしょう。
なお、成田空港まで行くアクセス特急が成田スカイアクセス線で、印旛日本医大駅までの各駅停車タイプが北総線です。厳密に説明すると誤りですが、一般利用者としては成田スカイアクセス線=北総線とイメージしても、停車駅さえ注意しておけば、利用上の問題は生じません。

ロードサイド店舗が充実
ちなみに、北総線(成田スカイアクセス線)は高規格で建設された国道464号線と並行しています。国道464号線沿いには多くの大型ロードサイド店舗が出店していて、自動車利用前提の生活をしているのであれば、印西市はかなり便利に住めると言えるでしょう。
市内でひときわ栄えているのは、市内の東京寄りに位置する「千葉ニュータウン中央駅周辺」と言われています。実際に駅前にはイオンモール千葉ニュータウン店が出店するなど、賑わいを見せています。

また、マンションも立ち並んでいて、北総線経由による東京通勤圏内の様相も呈しているのですが…
桁外れに高い「北総線」
異常な高運賃
ただ、この「北総線」が、長年にわたり市民を悩ませてきた曲者なのです。

このページをご覧の方であればすでにご存じだと思いますが「桁外れにとんでもなく高いぼったくり運賃」であることで有名。
「高い高いとはいえ、せいぜい300円くらいでしょ?」と思いながら初めて新鎌ケ谷から千葉ニュータウン中央までの運賃を検索した時、その結果に言葉を失いました。
つい最近まで、新鎌ヶ谷~千葉NT中央までのわずか4駅12kmで580円という信じられないほどの高水準でした。
一体印西市民はどうやって生活しているんだろう?
「生活バスちばにう」による救済
北総線がなければ脱出できない千葉ニュータウン周辺。
まるで北総線に入場料を取られるかのような状態に救済の手を出したのが生活バス「ちばにう」です。
北総線がなくても到達できる新鎌ヶ谷駅から千葉ニュータウン中央駅まで300円(当初)で運行。直通バスも運行し、完全に北総線と競合する走り方をしていることからも、生活の足として使っていただくことを想定した設定であることが分かります。

値下げをした北総線ですが…
2022年10月に異例の値下げが行われましたが、それでも同区間(12km)で480円。
千葉NT中央から印西牧の原までの1駅でも280円…
依然として高い水準であることに変わりはないでしょう。

何とかして北総線を回避するルートはないか??と考えた結果、いいルートを見つけました。
千葉ニュータウン中央まで行ける別ルート
改めて印西市の鉄道路線を見てみましょう。

成田空港にすぐに行ける便利な立地ですね!…じゃなくて。
確かに悪意のある路線図を書いちゃいましたが、見てほしいのは右上のほうです。

北総線以外にもJR成田線が通っていることが分かります。
JR成田線は、成田駅を中心に四方へと延びる複雑な路線ですが、印西市を通るのは「我孫子ー成田間」を走る成田線になります。
そして、安いルートを考えるときに欠かせないのが地域のコミュニティバスです。印西市には「ふれあいバス」というコミュニティバスが走っています。
成田線のうち、印西市内に位置する木下(きおろし)駅と小林駅に加え、我孫子市内の布佐駅の3駅から印西市のふれあいバスが出ています。

1乗車100円という破格の値段で、しかもルート間の乗り継ぎであれば1回無料です。
駅間移動に着目したマップを作りましたので、以下の関係図をご参考ください。

JRの運賃で乗れる成田線と、タダ同然のふれあいバス、使わない手はありませんよね。
なお、上記のルート図は駅間移動を想定して自作したマップですが、実際には駅周辺で「駅に接近した後いったん離れて駅のターミナルに入る」などの挙動がありますので、効率的に移動したいのであれば、公式サイトのマップをしっかり見て移動することをオススメします。
運賃比較
安いとはいえ、JR線も高いので、実はいい勝負になってしまいます。
しかし「安い順」で検索すると、面白いほどに「北総線の利用距離を短くする新鎌ヶ谷or東松戸ルート」が出てきます。
ご参考までに東京から千葉ニュータウン中央だとどうでしょうか。
東京→我孫子→布佐→千葉ニュータウン中央:958円
東京→日暮里→高砂→千葉ニュータウン中央:1149円
北千住から千葉ニュータウン中央までの運賃を比較してみましょう。
北千住→我孫子→布佐→千葉ニュータウン中央:782円
北千住→松戸→新鎌ヶ谷→千葉ニュータウン中央:904円
直通で行ける羽田空港も、乗り換えて遠回りした方が安いという…
羽田空港→品川→我孫子→布佐→千葉ニュータウン中央:1382円
羽田空港→(直通)→千葉ニュータウン中央:1434円
多くの場合で、JR線経由で布佐駅に出るルートが安くなります。
実際に乗ってみた
真新しい橋上駅舎を構える木下駅は、北総線が開通するまでは印西市の玄関口として機能していました。今でも、市役所は木下駅近くにあります。

木下駅の南口から「ふれあいバス」が発着します。ルートが複数あるので、間違えないようにしましょう。
なお、今回私は印西牧の原駅前にホテルを取っていて、同駅で乗り継ぎがてらチェックインしてから千葉ニュータウン中央に向かう行程を取ったため、中ルートに乗車しています。

小型バスで運行されるので座席数は少なめ。それでも(少なくとも私が乗車した中では)立ち客が出ることは一度もありませんでした。
コミュニティバスは駅間を結ぶことよりも、地域の足として機能することを重視していますので、狭い路地にも入りながら向かいます。
印西牧の原駅で乗り継ぐための乗り継ぎ券は、乗車の際に申し出ればもらえます。私が見た中では、私以外にもらっている人は一人もいませんでしたが…

印西牧の原駅から千葉ニュータウン中央までは南ルートで移動します。印西牧の原駅から千葉ニュータウン中央駅付近を通って、さらにぐるっと巡って駅前まで行きますので、駅が目的地であっても、その手前でタイミングを見計らいながら降りるのが近道です。
ぜひ、賢く巡ってみてください。
注意点
本数が少ないです
ふれあいバスは一般的な郊外のコミュニティバスですので、本数が限られます。
1日4往復程度になりますので、時刻表を確認して前後の旅程を組まなければなりません。
特に、早朝や夜間の運行はありませんので、時間帯も限られます。
印西市に夜遅く入ったり、朝早くに出発するケースでは使えません。
遅延が発生します
ふれあいバスは、地域住民の利用に合わせた経路を通るため、大通りを外れたり、横切る回数が多いルート取りとなっています。
大通りが高規格=脇道の信号待ちが長いという公式?がある通り、主に信号待ちを起因とした遅延が発生しやすい弱点があります。
時間が差し迫っているような移動には絶対に使ってはいけません。
注意点をわきまえて利用しましょう。
まとめ
北総線を使わずに印西市に立ち入るルートを考察し、以下の知見を得ました。
- 印西市の中央を東西に貫くのは北総線
- 印西市北部を成田線が通っている
- 成田線木下駅を中心に北総線沿線へのコミュニティバスが出ている
- コミュニティバスは100円/乗車で、乗り継ぎ制度もある
- 時間が合えば活用しましょう
印西市コミュニティバス「ふれあいバス」
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ではまた。