常磐道方面から東京に向かう高速バスは、鉄道よりも安価で快適な移動ができる手段として人気です。ただし、上り方面の高速バスは「首都高速6号線」の渋滞に巻き込まれることが多く、時間が読めないのがネックです。この問題に対処するため、途中の「八潮PA」で高速バスから下車し、100円でつくばエクスプレスに乗り換えができるシステムが導入されています。実際に乗り換えてみた筆者が、システムやルートを写真付きで解説をしますので、時間にタイトな予定がある方はご参照ください。
常磐道と高速バス
使い勝手のいい高速バス
首都圏から地方に向けて放射状に伸びる高速道路。
これらのうち、常磐自動車道は高速バスのメッカとしても知られています。
東京都心から茨城県内・福島県浜通りの周辺都市に向けて高速バスが頻発しています。
これらの高速バスは、ライバルとなるつくばエクスプレスや常磐線の特急列車よりも安価に移動でき、かつ駅から離れた地域にもこまめに停車するため、都内と行き来する際に重宝されています。
常磐道は、三郷JCTから水戸ICにかけて片側3車線が続き、観光シーズンでなければ渋滞も少なく走りやすい。
高速バスは常磐道を走っていきますから、スイスイ進んでいきます。
ですから、高速バスが大幅に遅れることなんてめったにありませ…
大幅に遅れることは…
大幅に遅れ…
大幅に…
遅れます。
笑って済まされる人はいいですが、そうじゃない人もいますよね。
上り方面のバスで遅れが発生しやすい
特に遅れが発生しやすいのは「地方から常磐道を経由して都心に向かう上り便」です。
常磐道の三郷JCTからつながる首都高速6号線(三郷線・向島線)は、慢性的な渋滞が発生しています。
酷いときは常磐道まで伸びてしまうこともあります。
この渋滞を抜けるのに60分以上かかってしまうこともあります。
当然、そうなれば高速バスにも大幅な遅れが発生してしまいます。
この渋滞こそが、常磐道方面を走る高速バス最大の弱点と言えるでしょう。
もし渋滞にハマってしまったら打つ手はないのか?
今回の記事は、常磐道を走る高速バスの上り線において、大渋滞にハマってしまったときの「逃げ道」として機能する「八潮PA」に関する話題となります。
八潮PAでの乗継システムについて
システム概要
常磐道を抜けてしばらく走ると、首都高速の料金所に至ります。
料金所の一角に設置されているのが「八潮PA」です。
八潮PAの近くには「つくばエクスプレス(TX)の八潮駅」があります。
この立地を活かしたのが乗継システムです。
渋滞がひどすぎて「これ以上、高速バスに乗っていられない」という状況のときは、ここで降りてTXに乗り継ぐことができます。
しかも、下車時につくばエクスプレス(TX)の運賃が一律100円(こども同額)になる乗継乗車券を発売してくれます。
高速バスが「まさにこれから渋滞に立ち向かっていく」という地点で電車に乗り継ぐという選択肢がある。
これはありがたいですよね。
乗り継ぎ対象路線
乗り継ぎの対象路線は下記の通りです。
- みと号(水戸ー東京)
- ひたち号(日立ー東京)
- 勝田・東海号(ひたちなかー東京)
- 常陸太田線
- 常陸大宮線
- 関東やきものライナー(笠間ー秋葉原)
- 日立・水戸ー羽田空港線
- 桜川・筑西ライナー(下館ー東京)
- つくば号(つくばー東京)
※つくば号は乗継乗車券の発売対象外
乗り継いだ場合の所要時間は約40分
乗継ルートの詳細は次項で解説しますが、先に乗り継いだ場合の所要時間(一例)を示します。
まさに今、渋滞にハマりそうという状況で本記事にたどり着いた方は、所要時間の目安にご参考ください。
八潮PA下車〜東京駅到着まで約40分。※状況により前後します
- 八潮PAから八潮駅まで:徒歩6分
- 八潮駅から秋葉原駅まで:約20分
- 秋葉原駅での乗り換え:約6分
- 秋葉原駅から東京駅まで:約4分
- 待ち時間やロスタイム:約4分
上記は東京駅まで向かう場合です。
高速バスは既に降りている(=乗車済)なので、必ずしも東京駅に行く必要はありません。最終目的地が東京駅ではない場合は、秋葉原・新御徒町・南千住・北千住の各駅からJR線や地下鉄線に乗り換えることができます。
高速バス→TX乗り継ぎ手順
実際に高速バス(みと号)からTXに乗り換えて秋葉原に向かった時の様子を示します。
八潮PAで下車する判断
高速バスが常磐道での走行を終えるころになると、乗務員さんが首都高速の渋滞情報を教えてくれます。状況が許せば、東京駅への到着見込み時刻も教えてくれます。
ここで、所定よりも30分以上遅れそうであれば、八潮PAで乗り継いだ方が早いと考えていいでしょう。30分未満の遅れでも、この後の予定が詰まっている状況であれば、降りたほうが確実です。
降りるときは、バス車内の降車ボタンでお知らせしましょう。
八潮PA内での移動
八潮PAには、バス停の設備のほか、トイレやコンビニ、レストランも入店しています。
バス下車後に利用するのも問題ありませんので、ついでに活用するのもいいでしょう。
ちなみに、高速バスの降車場所はパーキングエリアの端になりますので、降りたら振り向いて、パーキングエリアの中央(商業施設)に向かって歩きましょう。
商業施設を横目に突き進みます。
すると、八潮駅へ案内する看板が出てきます。これに従いましょう。
やがて八潮PAから外に出る通路にあたります。
この先は出口専用です。
八潮PAからTX八潮駅まで
八潮PAを出たら、TX八潮駅まで徒歩約5分で到着します。
フレスポ八潮という商業施設があり、その裏側に八潮駅があるとイメージしてください。
この看板のルートで向かいましょう。
公道に出たらUターンして「八潮駅北口」交差点に向かいます。
フレスポ八潮をまわりこむように向かいましょう。
TX八潮駅から電車に乗る
TX八潮駅に着いたら、有人改札を通って「秋葉原方面のホーム」に向かいましょう。
八潮駅からは「普通」と「区間快速」が発着しています。
「普通」はすべての駅に停車します。
「区間快速」は北千住まで停まりませんが、北千住から秋葉原までは各駅に停車します。
乗継で利用する人は北千住より先に行くでしょうから、来た電車に乗ればOKです。
どの駅で降りればいいの?
高速バスの行先は(多くの場合で)東京駅ですが、TXは「秋葉原」が終点です。
もし、東京駅に行きたいのであれば、秋葉原駅からJR山手線に乗り換えて2駅です。
最終目的地が東京周辺のJR駅であれば、秋葉原駅まで行ってしまうのがいいでしょう。
JR駅ではない場所に行くのであれば、秋葉原駅から地下鉄(日比谷線)を利用するか、北千住駅から地下鉄(千代田線)を利用するかをご判断いただくことになります。
TX乗継の注意点
さて、乗継手順はお分かりいただけたと思います。
続いて注意点を共有しておきます。
つくば号は対象外
八潮PAには常磐道を経由する高速バスが停車します。
つくばと東京を結ぶつくば号も停車しますが、100円の乗継割引券は対象外です。
これは、(1)つくば号がTXと競合していることや、(2)上り方面のIC運賃が割安(いわゆる”渋滞承知運賃”)に設定されていることなどが影響していると考えられます。
八潮PAの手前から渋滞することがある
多くの場合は首都高速に入ってから渋滞が始まりますが、行楽シーズンや週末の夕方以降は首都高速の渋滞が常磐道まで伸びてしまうことがあります。
その場合「八潮PAまでは流れる」という前提で乗車すると計算を誤ることがあります。
どうしても遅れてはいけない用事を抱えている場合は、鉄道の利用が確実です。
こども同額です
乗継割引券は1枚100円ですが、これは大人・こども同額です。
こどもも100円かかりますのでご注意ください。
なお、つくばエクスプレスの運賃はやや高めで、八潮~六町(1駅)の利用でも、大人210円/こども105円がかかります。つくばエクスプレスに乗り継ぐのであれば、区間や大人/こどもの区分によらず、乗継割引券の購入がオトクになっています。
降車ボタンを押さないと停まらない
首都高速の渋滞に対応するために設定されている「八潮PA」ですが、渋滞していない状況でも下車することは可能で、その場合でも乗継乗車券を購入することができます。
ただし、渋滞していない際は八潮PAでの下車希望者が他にいないことも考えられます。降車ボタンでのお知らせがない場合は通過します(=八潮PAに入ることすらしない)ので、降車ボタンの押し忘れには十分注意しましょう。
ちなみに、八潮PAは首都高速八潮本線料金所を出たらすぐに到着しますから、料金所の手前からポジショニングする必要があります。そのため、下車を希望する場合は早めの意思表示が必要です。
とはいえ、運転手さんから放送による案内がありますので、心配はご無用。放送のタイミングに合わせて反応すれば全く問題ありません。
八潮駅での乗継は上り専用
TX沿線に向かう場合は、乗り継ぎシステムをうまく活用すればオトクに効率的な移動ができますが、乗継乗車券は八潮駅から秋葉原方面のみ有効です。
八潮駅から三郷中央・南流山方面に戻ることはできませんのでご注意ください。
まとめ
常磐道方面の高速バスからTXに乗り継ぎ、以下の知見を得ました。
- 高速バスが大渋滞に巻き込まれても「八潮PA」で降りることができる
- 八潮PAからTX八潮駅までは徒歩6分程度
- TXへの乗継乗車券が100円で購入可能
- 乗り継いだ場合の所要時間は40分前後
- つくば号は乗継対象外(下車は可能)
茨城交通バス(乗り継ぎについて)
>> こちら
ではまた。