【謎運用】我孫子始発高萩行き(常磐線)はなぜ走るのか。

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鉄道
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JR常磐線には1日1本だけ、我孫子始発高萩行きが走っています。通常であれば上野から運行するはずの常磐線の中距離電車が上野ー我孫子間の運行を放棄して中途半端な区間のみ運行。「誰が乗るの?」なんて思われがちですが、乗ってみれば大盛況。勝田以北を下る朝の常磐線普通列車としては貴重なグリーン車連結の列車ですが、そろそろ廃止になるのではないかとの観測もあります。

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我孫子始発高萩行きについて

JR常磐線の普通列車には、品川や上野から「取手までを結ぶ緑色の近距離電車」と「取手より先まで行く青色の中距離電車」があります。

少し難しい表現をすると、近距離電車はE231系という車両が使われていて、電源が変わる取手より先には行けません。

一方、中距離電車にはE531系という車両が使われ、電源が変わる取手より先にも行ける高級仕様になっています。

E531系電車の外観@勝田駅

そんな中距離電車の中に1日1本だけ、異彩を放つ謎運用があります。

ダイワロイネットホテル水戸から撮影

E531系10両編成(グリーン車付き)。これから首都圏の朝ラッシュが始まろうという朝6時半頃に我孫子駅からノコノコと出発する異彩列車は、なぜか東京には向かわずに、いきなり常磐線を下り始めます。

おいお前!これから朝ラッシュで忙しくなるのに田舎に行ってどうするつもりだ!?

…なんとこの列車。

我孫子始発の高萩行きとして運転されるのです。

実は混みあう常磐線-水戸エリア

首都圏の人は「朝ラッシュは上り方面」と考えがちなのですが、ラッシュが起きるのは首都圏だけではありません。東京から遠く離れた場所であっても、中核都市を中心に朝ラッシュが存在します。

JR常磐線でいうと、特に混みあうのは、取手付近から土浦にかけてと、土浦付近から水戸にかけてと、水戸付近から勝田・日立にかけてと…断続的に小さい波が何度もやってきます。

地方ではラッシュでも本数が少ないので、1本ある/ないでは天と地の差が出てしまいます。

東京方面ばかりに気を取られて地方都市をないがしろにしすぎると、パンクします。

そんな事情を知ってか知らずか、我孫子始発高萩行きの列車は上野始発の間隔が空いてしまう時間帯にスルッと入って救済してくれる重要な役割を果たします。

【土浦駅時刻表】
仮に我孫子始発の高萩行きがないと…
0548 0614 0637 0714 0736
37分も間隔が空き、0714がパンクします

我孫子始発の高萩行きが入ると…
0548 0614 0637 0700 0714 0736
バランスよく発車しているのが分かります

10両編成というキャパのでかさが威力を発揮。前を走るオールロングシートのE501系10両編成(土浦06:37発)とともに、特に混みあう07時30分前後の友部~水戸間に2連続で突っ込んで大量のお客さんをスムーズに運んでくれます。

実は混みあう常磐線-日立エリア

この列車の変わった運用は水戸以北でも続きます。

貴重な朝の下りグリーン車

水戸駅到着後は速やかに発車しますが、次の勝田駅で後続の小山始発勝田止まりの列車を待ってから発車するため、13分も停車します。

そんなことするならこの列車を勝田止まりにして、後続の列車を高萩まで送ったほうがスムーズです。

…なんて思うかもしれませんが、実態はちょっと違います。

水戸以北でも混雑は続いていて、特に大甕駅まで大量の学生を、日立駅までサラリーマンを運ぶ役目を担っています。それには5両編成では不十分

さらに、我孫子始発の列車はグリーン車がついているため、お金を払ってでも着席したいというニーズにも応えることができます。

2023年現在、勝田以北で朝の下り列車にグリーン車がついているのは2本しかなく、そのうちの1本ということになります。

しかも、他の1本は土浦05:48発高萩行きの列車なのですが、こちらはダイヤ改正のたびに車両運用がコロコロ変わります。かつてはE501系10両編成で走っていたと思ったら、E531系グリーン車付き10両になり、今度はE531系グリーン車なし5両×2編成になり、またE531系グリーン車付き10両に戻るという…情緒不安定な状態。

対して、我孫子始発高萩行きは安定的にグリーン車が楽しめる貴重な1本となっているのですが…

水戸以北の利用には「ひたち1号」も

この列車のグリーン車には身内に競合がいて、それが特急「ひたち1号」です。

例えば水戸から日立まで向かう人がいたとして、水戸07:47発の当列車のグリーン車(+780円)に乗って快適な旅を…なんて思っていても、勝田での長時間停車が響き、日立に着くのは08:31になります。

一方、水戸08:11発の特急「ひたち1号」の普通席(+760円)に乗ると、日立に着くのは08:34。なんと水戸の時点で24分も差がついていたのに、日立の時点では3分縮まっています。

もちろん、特急が止まらない駅までの利用であれば話は変わりますが、日立まで行くのであれば特急「ひたち1号」の方が速いし安い…ということになります。

ちなみにJRE POINTを利用する場合、普通グリーンは600ポイント、水戸ー日立間の特急券は460ポイントと、その差は広がります。

車内で朝ご飯を食べがてらゆっくりしたい…というニーズがあれば、普通列車グリーン車もアリなのですがね…

前後の運用について

(前運用)勝田発我孫子行きの折り返し

そんな感じで大活躍の我孫子始発高萩行きですが、この車両、我孫子のどこから湧いてきたの!?って気になりますよね。

実はこれ、前日の夜に勝田駅発我孫子行きとして運転された列車の折り返しなんです。

勝田発我孫子行き列車は上りの最終列車なのですが、終点で乗り継ぐことで当日終電までに上野に到達することができる、これもまた重大な役割を担う列車です。

かつては日立22:08発の我孫子行きとして運転され、勝田以北の夜の上りとしては唯一のグリーン車連結の普通列車だったのですが、ただでさえ利用客の少ない夜遅い時間帯であるうえ、直前(日立21:51発)に先行列車が走っていることから利用が低迷しており、前運用である日立行き下り普通列車とともに、勝田ー日立間の1往復分が削減されて今の形に至ります。

深夜帯に10両編成連発(笑)

(後運用)高萩発水戸行きとして折り返し

一方、終点の高萩駅に到着したらどうなるかというと…

2023年3月までは、上りの品川行き普通列車として折り返していました。この列車はグリーン車が連結されている勝田以北の貴重な上り列車だったのですが…

今では、同列車が水戸止まりになっています。

これにはJR東日本の思惑が隠れています。

どうしても土浦ー水戸間の短編成化を進めたいJR東日本では、高萩発品川行きの列車を3つに切り刻みました。

その結果、高萩から水戸までグリーン車付きの列車が走り、接続の土浦行きにはグリーン車がなく、土浦から先は再度グリーン車が現れる”珍乗り継ぎ”ができてしまいました。

来年はどうなるのでしょうか。

一部では「我孫子発勝田止まりになるのではないか」「代わりに水戸線を高萩まで送るのではないか」とささやかれています。

大混雑は発生しますが、車両運用上は可能です。

JR東日本の大好物である「E531系基本編成の運用を減らして水戸以北のワンマン運転拡大を進める」なんてことも実現できてしまいます。

はたして…

我孫子始発高萩行きのグリーン車に乗車

さて、珍しく朝のこの時間に水戸から日立に移動する用事ができた私。

速くて安い特急「ひたち1号」は使わずに普通グリーン車で行ってみることにしました。

空っぽ。

水戸出発時点では同じ車両に5-6人という程度の乗車率で、快適に過ごせる状態でしたが、よく見ると各座席とも「使用された痕跡」が残されています。

カーテンや背もたれくらい直していけよという…お小言は別にして…とりあえず水戸以南では高い乗車率であったことを感じさせられます。

勝田駅での長時間停車も、グリーン車の車内であれば快適。同じお金を払っているのだからゆっくり走ってくれていいのに…なんて感情も沸いてきます。

そして、大甕に至ります。グリーン車の車内は空いているからと油断していましたが、ふとホームに目を配ると、溢れんばかりの乗客が階段に向かって大渋滞。心なしか長めの停車時間が確保されていることもあり、普通車の乗車率が依然として高いことが伝わってきます。

それにしても、景色いいですよね。2階席から見れるのも普通列車ならではです。

東海を過ぎたあたりからチラチラ見せ始める太平洋は、常陸多賀ー日立間でひらけて見えてきます。そして日立駅では…

これですからね。絶景という観点でいえば茨城県ナンバーワンの駅じゃないですかね、これ。

と思っていると、後続の特急「ひたち1号」がすでに日立駅を発車していくところでした。

特急にはスピードではかないませんが、ゆっくり移動するのも贅沢な時間の過ごし方だなぁと、改めて感じました。

まとめ

我孫子始発高萩行きの普通列車について、以下の知見を得ました。

  • 1日1本のみのレア運用
  • 上野始発の列車が少ない時間帯に入る
  • 水戸エリアのラッシュの救世主
  • 日立エリアへ乗り入れるグリーン車付きの貴重な列車
  • …遅い。笑

首都圏から乗るには早起きしないといけませんが、機会があればぜひ。

ではまた。

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