【2023年】JAL国内線の運賃規則を解説(種別・割引・払戻しなど)

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2023年4月12日から適用されているJAL国内線の運賃規則について、運賃の種類、申し込みの期限、割引の種類、変更の可否、取消時の手数料などを中心に解説します。主に旅行者が使う割安な運賃は「スペシャルセイバー」として変動制を採用しているほか、特典航空券も細かい変動制となり予約変更も不可になるなど、かつての運賃体系と比較してデメリットが目立ちます。一方、往復割引や小児割引が割引運賃にも適用されるなどのメリットも見られるほか、タイムセールも行われています。

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JAL国内線「有償航空券」の購入

この項目ではお金を支払って購入する一般的な航空券、いわゆる「有償航空券」について記載しています。

JAL国内線の運賃の種類について

航空機の普通運賃は非常に高額で、これを毎回使う人はほとんどいません。

東京(羽田)ー大阪(伊丹)で30,000円以上しますから、よほど切羽詰まった状況でない限りは手を出さないでしょう。

これに対し、あらかじめ予定していた旅行などであれば正規割引航空券を利用する人は多いでしょう。

東京ー大阪で概ね1万円台であれば、これは正規割引航空券に該当します。

一般的には正規割引航空券の運賃は買うタイミングが早ければ早いほどおトクです。

かつて、JALにおいては、以下のように買うタイミングによって異なる運賃種別を用意し、それぞれに対してほぼ固定の運賃を割り振っていました。

上から下に向かうにつれて、運賃は高くなりました。その差は小さいこともありましたが、逆転することは絶対にありませんでした。

  1. ウルトラ先得(75日前)
  2. スーパー先得(55日前)
  3. 先得割引B(45日前)
  4. 先得割引A(28日前)
  5. 特便割引21(21日前)
  6. 特便割引7(7日前)
  7. 特便割引3(3日前)
  8. 特便割引1(前日)

現在の運賃体系でも、「早期購入がオトク」という流れは概ね受け継いでいますが、区分が変わっています。

具体的には、先得割引系をスペシャルセイバー、特便割引系をセイバーに集約し、これまで8段階ほどあった正規割引運賃を2つにまとめました。

これに加え、普通運賃は「フレックス」との名称に変更したほか、タイムセールなどで突発的に格安な金額で航空券を発売した際の運賃を「プロモーション」とし、全部で4種類の運賃に再編されています。

これまでの運賃新しい運賃発券期限
プロモーション不定期
ウルトラ先得スペシャルセイバー28日前まで
スーパー先得スペシャルセイバー28日前まで
先得割引Bスペシャルセイバー28日前まで
先得割引Aスペシャルセイバー28日前まで
特便割引21セイバー前日まで
特便割引7セイバー前日まで
特便割引3セイバー前日まで
特便割引1セイバー前日まで
普通運賃フレックス出発20分前まで

そして、セイバーよりもスペシャルセイバーの方が安い傾向であることは間違いないのですが、それぞれの運賃において、搭乗時期や購入時期によって価格を細かく変えるシステムが導入されました。

これを「変動制運賃」といい、JAL国内線で本格的に導入されたのは今の体形になってからといわれています。(国際線ではかなり昔から導入されているシステムです)

運賃体系は非常にわかりやすいのですが、肝心の運賃が自分が発券した後に上がるか下がるかわからない点は不便(というか不安)に感じる人もいるかもしれませんね。

併用できる割引制度について

これらの正規割引運賃は、さらに別の割引を重ねて受けることができるようになっています。

小児割引

現運賃では、割引された大人の運賃からさらに25%引きの割引を受けることができます。

これを「セイバー小児」と呼ぶらしいです。

運賃種別小児運賃
(旧制度)先得割引大人の100%
(現制度)スペシャルセイバー大人の75%

これまで、普通小児運賃を除き小児に対する割引運賃の割引制度はなく、大人と同じ運賃がかかっていましたので、これは大きな進歩といえます。

ちなみに国内線は3歳から航空券が必要になるのは変わりません。(こどもの運賃規則に関しては後述します)

その他の割引制度として、障がい者割引は20%、介護帰省割引は10%に設定されています。

往復割引

これまでは往復でJALを利用する場合でも、そんなことはどこ吹く風、往復を合算した運賃をそのまま支払っていました。

しかし、これからは往復利用時に5%の割引を受けることができます。

これを「往復セイバー」と呼ぶらしいです。

運賃種別往復運賃
(旧制度)先得割引(往路運賃+復路運賃)×100%
(現制度)スペシャルセイバー(往路運賃+復路運賃)×95%

ANAやSKY、JRなどに浮気をせずに往復利用した方がお得になりそうですね。

「有償航空券」の払戻し

航空券を払い戻すときは、相当な額の取消手数料がかかる点を覚えておきましょう。

旅行者が利用するであろう「スペシャルセイバー」では運賃の約50%、直前に申し込んだ際に利用するであろう「セイバー」では運賃の約5%の取消手数料がかかります。

なお、出発後は高額な取消手数料がかかる仕組みですので、乗らないのであれば手続きを怠らないこと。払い戻しを希望する場合は、運賃の種別に寄らず、必ず乗客からの申し出が必要です。

取消タイミングフレックスセイバースペシャルセイバープロモーション往復セイバー
55日以上前なし約5%約5%約5%約5%
54日前~出発前なし約5%約50%約50%約50%
出発後約20%全額全額全額全額
取消時の手数料

JAL国内線「特典航空券」の購入

この項目ではマイルを用いて予約する航空券、いわゆる「特典航空券」について記載しています。

マイル数が細かく変動

これまでは、特典航空券で予約する際には「定額マイル」で乗るか、もし特典航空券向けの空席が設定されていない場合は「いつでも特典航空券」としてほぼ倍額のマイルを支払うことで発券していました。

しかし、これからは混雑状況に応じて必要マイル数が細かく変わる「変動制マイル」が導入されます。

出典:JALホームページ

マイルを多く積めば、空席がある限りいつでも搭乗可能であることに変わりはありませんが、上限に至るまでの間に何段階もある、ということになりますね。

よく言えば取りやすく、悪く言えば簡単に値上げできる、そんなシステムが導入されています。

ゾーンの刷新

これまでは、特典航空券の発券時に必要なマイル数は3段階に分かれていましたが、これからは7段階となります。

一部の路線ではこれまでよりもオトクに搭乗できます。ただし、変動制なので注意です。

  • 東京ー山形・名古屋:5000マイル
  • 東京ー秋田・小松・大阪:6000マイル
  • 東京ー函館・青森・三沢・南紀白浜・岡山・出雲・広島・徳島・高松・高知・松山・大分:7000マイル
  • 東京ー札幌・女満別・旭川・釧路・帯広・山口宇部・福岡・北九州・長崎・熊本・宮崎・鹿児島:8000マイル
  • 東京ー奄美大島・那覇:9000マイル
  • 東京ー久米島・宮古・石垣:10000マイル

予約変更不可

予約時の空席予測によって必要マイル数が変わる「変動制」を導入することに伴い、予約変更が不可となります。

予約便よりも前の便に空席がある場合に可能であった当日空港での予約変更も出来なくなります

オトクな特典航空券の廃止と変更

おともdeマイル割引の廃止

マイル利用者に同行することで割安な運賃で搭乗することができるおともdeマイル割引は大好評でしたが、この運賃は廃止となりました。

これまでは本人は往復10,000マイル、同行者も25,000円前後で往復できた同運賃が廃止となりますが、代わりの施策はございません

ANAなら「いっしょにマイル割」が現存していますから、おともdeマイル割引を好んで使っていた人は、この機会にANAへの乗り換えもアリかもしれません。

どこかにマイルの必要マイル数増加

6,000マイルで日本のどこかに行けたどこかにマイルですが、運賃改訂の機会に7,000マイルに変更となりました。

上位クラスの利用について

JAL国内線には、リーズナブルな普通席の他に、広い座席のクラスJや、最高級のサービスを兼ね備えたファーストクラスがあります。

上位クラスの料金変更

こちらは時間差で2段階での実施となりましたが、これまで

  • クラスJ:一律1,000円
  • ファーストクラス:一律8,000円

であった上位クラスの料金が、段階的に値上げとなっています。既に距離に応じた変動制をとっておりますが、2023年4月12日から10%の値上げとなります。

  • クラスJ:1,100円/2,200円/3,300円
  • ファーストクラス:11,000円/13,200円

値上げを軸とした変更が加速されています。

この理由として「新型コロナウイルスによる需要減や原油価格の高騰の中で自助努力だけでは厳しい経営環境である」旨を挙げ、”素直な告白”をされております。

利用者としても理解を示し、”贅沢な移動”をしたいのであればお金を払いましょう。

JALオンラインの特典廃止

ビジネスパーソン向けに展開されているJALオンラインでは、普通席と同じ料金でクラスJを利用できるキャンペーンが行われていました。

しかし、新しい運賃に移行するタイミングで、このキャンペーンが終了となります。

これからは必ずクラスJ料金が必要となりますのでご注意を。

逆に言えば、お金を払ってでもクラスJを使いたいという人には、空席を確保しやすくなるかもしれませんね。

本改訂の改善点

私の主観を含む項目になります。

さぁさぁ、慣れ親しんだJAL国内線のルールが大幅に変わりましたが、みなさんのご機嫌はいかがですか?

…ですよね。笑

わかります。はい、不機嫌ですね。

スマホ投げそうになりますよね。

でもちょっと落ち着いて。改善点もありますので、見てあげてくださいな。

変動制運賃で直前でもオトクになるかも

所詮、旅行なんてどこに行っても楽しいと思います。

であれば、航空会社が「席が余りそう」と悲鳴をあげている便に乗ってあげようじゃないですか。

変動制運賃を導入するということは、席がガラガラに余ってしまいそうな便は残り28日を切っても最安水準になる可能性を秘めています。

これからは「今週末どこに行く?」という難題に対する答えを、航空会社が用意してくれますね。

逆に言えば、最安水準にならない限りはJALで旅行しないこと。

最安で発券すれば、その後の運賃をいちいち気にする必要がないので、精神的にも健全です。

(2023.03.30追記)
運用が開始されてしばらく観察してみた結果を共有します。
残念ながら全体として「値上げベース」での運賃が設定されています。しかし、席が余りそうと予測された日程については、便を限定して大幅な値下げが行われています。
例えば【東京(羽田)→徳島】(搭乗日4/19と4/20)の場合を見ますと、3/30時点で4/20以降の運賃が8,000円を下回っています。一方、4/19以前の運賃は30,000円を超えています。このように、今まで以上に「高いときは高く」「安いときは安く」と、フレキシブルな運賃設定がされているようです。
出典:JAL運賃検索

小児割引がかなりオトク

普通運賃こそ大人の半額になっていましたが、割引航空券を利用するのであれば大人と同額が必要というのは、JAL国内線では常識でした。

ところが、改訂後は大人の75%で乗せてくれます

大人と同じ一席を使うのに、大人の75%でいいんです。

「なんて優しいんだ…」

3歳から航空券が必要なので、特に未就学児を連れて旅行に行く場合は鉄道よりも大幅に出費が多くなる傾向にありました。そのような中で25%引きはかなり大きい。

(しかも機内でおもちゃもらえるよ)

これからはお子様のいる家庭にとって優しい運賃体系になりますね。

往復利用でオトクになる

往復割引が割引航空券にも適用される点は評価できると思います。

ツアーに縛られない個人利用者は、往路と復路で航空会社の垣根を越えて都合のいい便を選びがち。しかし、往復利用で割引が適用されるとなれば、航空会社にとってもある種の囲い込みとして使えるでしょう。

Win-Winだと思いますね。

近距離のマイル利用がオトク

これまでよりも特典航空券のゾーンが細かく分かれたことによって、極短距離でも利用しやすくなりました。

例えば東京ー名古屋は5000マイルで利用可能(空港利用料は別途)なので、1マイル=1.5円換算でも新幹線といい勝負でしょう。

しかも、ゴールドカード以上を持っていれば出発地の羽田でも到着地の中部でもラウンジを利用可能。

さらにプライオリティパスを持っていればセントレアで3,400円相当のピザも無料!(閉店しました…)
>> ご参考

区間を選べば、空の旅が身近になったとも言えます。

クラスJが利用しやすいことも

これまで、ウルトラ先得などの格安航空券では、クラスJを事前予約することが出来ませんでした。

この改訂以降は、所定の料金を支払うことで、スペシャルセイバーの最安水準であってもクラスJを事前予約できるようになります。

実際には、クラスJの運賃が最安水準に落ちることは少ないと思われます。言い換えれば、普通席とクラスJでは別々の料金体系になりますので、普通席が高いときはクラスJをオトクに利用できることがあります。

出典:JAL運賃検索

上のケースでは、JAL103便において、普通席+220円でクラスJを利用できることが分かります。もちろん普通席のベースが高いのですが、やむを得ずこの便を選ぶしかない、という場面ではクラスJの利用も視野に入りますよね。

本改訂の改悪点

ということで新運賃を持ち上げてきましたが…

落としますか、このあたりで。

これは挙げ始めるときりがないですが、トップ3あたりを考えてみましょう。

…だからぁ、スマホ投げないで。落ち着いて。

特典航空券の変更不可

私が考えるトップはこれですね。特典航空券の変更不可に関する規定。

これまでは変更が自由でしたし、「どこかにマイル」などの格安特典航空券であっても、当日空港で前の便に空席があれば変更可能でした。

しかし、これができない…

前倒しを見込んでその日の夕方便(=空席ができるので特典航空券を取りやすい)を取っといて、当日の都合のいい便に飛び乗る、というマイラーの常套手段を封じられます

これはかなり痛い。

これについてはJALも後ろめたさを感じているのか、国内線特典航空券の取消手数料が3,100円から1,000円に値下げとなります。

どうしても変更したい場合は、一旦取り消して予約し直すようにしましょう。

特典航空券のマイル数増加

旅行者にとって人気の行き先である「札幌」「福岡」「那覇」では、これまでよりも多くのマイルが必要になります。

那覇の場合は15,000マイルから18,000マイルに値上げとなり、さらに変動制の導入で上積みが図られると思われます。

これは痛手でしょう。

マイルの価値が下がっていると言わざるを得ません。

航空券の予約時期が見通せない

変動制の運賃とはうまくいったもので、すべては航空会社の都合で運賃が決まるということ。

「その日のその路線で航空機利用が絶対に必要なんだ」

…という固定の利用者に対して早期に割高に買わせておきながら、あとから運賃を下げるなんて日常茶飯事になると思われます。

この場合でも、差額の返金はありません。買いなおすことは可能ですが、所定の取消手数料がかかるので賢い選択ではありません。

よって、帰省や単身赴任などで航空機を使わなければならない人(=航空機を利用する機会の多い人)にとっては少々使いにくいかもしれません。

得する人と損する人

得するのはこんな人

旅行者にとってはメリットも目立ちます。特に、行き先がどこでもいい人であれば、都合のいい日程の中で安い行き先を探せばOKなので、むしろ選択肢が狭まって決めやすくなるでしょう。

旅行の日程を直前まで引っ張っても安い水準でとれるかもしれません。

また、行き先が新幹線沿線であれば、比較対象に鉄道も加味されますので、利用者側の都合で飛行機を捨てる判断もできます。

また、お子様連れの方も有利になります。これまでは対象外であったセール運賃も大人の25%引きになることは、JALの6600円セールの時に明らかになりましたね。

損するのはこんな人

帰省や単身赴任をはじめ、冠婚葬祭のご予定などで前々から行き先や日程が縛られている人にはデメリットが目立ちます。いつ買えばおトクなのか、さっぱりわからない制度に変わりますので、ストレスフルな判断を迫られるでしょう。

また、どこかにマイルではない通常の特典航空券を利用する場合でも、細かく値上げできる制度に変わりますので、使い勝手が悪くなるでしょう。

まとめ

2023年に実施されたJAL国内線の新運賃制度について解説し、以下の知見を得ました。

  • 有償航空券も特典航空券も変動制
  • 小児割引が拡充される
  • 特典航空券は変更不可
  • 上位クラス料金も変わる(改訂済)

JAL新運賃のご案内
>> こちら

ではまた。

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