【仙台ー石巻】仙石東北ライン、電化区間なのに気動車が走る理由

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鉄道
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仙石東北ラインに石巻ー仙台間を直通する路線です。東北本線と仙石線を走り、スピード重視で駆け抜けます。東北本線と仙石線では電源が異なるため、ハイブリット車両(HB-E210系)を使っています。システム改修により2018年から仙石線と東北本線を跨ぐ際の一時停止は廃止になっています。乗車した時の様子をご紹介します。

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仙石東北ラインとは

仙石東北ラインは、仙台駅と石巻駅を結ぶJR東日本線の愛称です。全線が宮城県内での運行で、主要都市間を結ぶ路線として人気を博しています。

仙石東北ラインは、仙石線と東北本線を直通して走る路線であることから名付けられています。

仙石線と東北本線は仙台ー松島間でほぼ並行して線路が敷かれていますが、両者は使用している電源が異なります。仙石線は首都圏で使われている直流電源が使われているのに対し、東北本線は交流電源です。

仙石線ではかつて首都圏で活躍した205系が、東北本線では東北地方で活躍する701系やE721系が走っていますが、それぞれの車両は互いを行き来することはできないため、最接近する区間にも連絡線は存在しませんでした。

しかし、2011年の大災害を経て、沿線自治体の復興支援を主な目的に、連絡線を整備することを発表。課題である車両は「別に電気使わなければいいんじゃないの?」ということで新型気動車HB-E210系を整備することで解決となりました。

今では、湘南と新宿を結ぶ「湘南新宿ライン」、上野と東京を結ぶ「上野東京ライン」とともに、ライン3兄弟の様相を呈しています。湘南新宿ラインは貨物線を改良して作られた元祖ラインの路線、上野東京ラインは新幹線の上を駆け抜けたあとに急降下して首都高を潜るという大規模工事の末に誕生した悲願の新線、仙石東北ラインは電気の壁を気動車で乗り越えるチカラワザの新系統です。

仙石東北ラインのようす

なんだろう、東北にゆかりのある私にとってHB-E210系は復興の象徴の一つであって、新路線が嬉しいような、被災当時を思い出すような、ちょっと複雑な気持ちになります。

とりあえず乗っていきましょう。情報を探していたみなさまもご参考に。

HB-E210系について

HB-E210系って、気動車とは思えないほどかっこいいですよね。別に気動車を見下しているわけではないんですけど、昭和を駆け抜けたキハ40とかと比べるとこっちがイケメンだという個人の感想です。

で、HB-E210系のHBって何かというと「ハイブリット」っていうことなんですね。

専門家ではないのでざっくりとした説明になりますが…

この車両のすべてのエネルギー源はディーゼルエンジンになります。しかし、回した車輪を止めるときに電気エネルギーとして回収し、バッテリーに蓄電するんですね。で、ディーゼルエンジンが不得意とする低速域での加速時はバッテリーからの電気でモーターを回すという感じ。

従来は石油エネルギーを使ってモーターを回し、ブレーキをかけるときは熱として大気に逃がしていましたが、これを再利用できるのが利点。

細かい説明は抜きにして、今、乗車中の列車が何をしているのか、車内モニターでリアルタイム表示されています。

少し話がそれますが、このような車両は小海線などでも使われています。小海線は長い坂が多いので、下り坂で緩やかなブレーキをかけながら蓄電しちゃうという効率的な運用ができるため、ハイブリット向きなのかなと思います。

乗車中のようす

HB-E210系はボックスタイプと横向きの座席が混在する座席配置になっています。このような座席配置をセミクロスシートというそうです。鉄道が好きな人に人気なのはボックス部分ですが、座ってみて落ち着くのは横向きの2人掛けだったりします。

車いす対応の巨大なトイレの向かい側に、スペシャルソーシャルディスタンス席もあります。

各ボックスにはドリンクホルダーもありますので、イオンで買った天然水置いておきますね。コロナ禍なので、車内での飲食は可能な限り人のいないスキに済ませましょう。

テーブルの耐荷重は5kgなので、2Lペット2本並べて、その上に2Lペットを寝かせないでください。

石巻駅を発車すると、しばらく町中を走ります。途中に停車する「石巻あゆみ野」は2016年に開業した新駅。楽しそうな公園が線路横にありますよ。

そして、進行方向海側には松島の景色をご覧いただけます。

写真ではわかりづらいですが、高樹町を過ぎると東北本線の線路が見えてきます。下記写真は仙石東北ラインから松島駅を撮影したものです。よーく見るとE721系が停車しているのが見えますね。

列車は仙石線を離れ、東北本線に向かう連絡線に入ります。

停車することなく(※後述)東北本線に合流、この先は速度を上げて仙台駅をめざします。東北本線内の途中停車駅は塩釜のみ。利府支線との接続駅である岩切も無視して突き進みますが、同区間は東北本線が多く運行されているので停車不要なのでしょう。所要時間の短縮であるほか、遠近分離の一環でもありますね。

快速列車であっても、一部の列車は東北本線内各駅に停車します

仙台駅に到着。石巻駅を出て1時間以内に到達できるのは仙石東北ラインが開業してからのこと。便利に快適になりましたね。

この後、この車両は石巻に戻りますが、仙台駅でも30分くらい休憩時間があるようです。

連絡線での一時停止

仙石東北ラインが開業したときは、仙石線ー東北本線間の連絡線上で一時停止していました。合流先の線路に列車がいるわけでもないのに停止。

これには、仙石線と東北本線との指令系統が別であったことが要因としてあったようです。

仙石線を離れて連絡線に入った列車は、その場で一時停止し、その間に指令で「仙石線系統から東北本線系統への手動切替」をしていたものと思われます。

これが、2018年に解消。システムの改修に伴い、両線間の切り替えが自動で行われるようになり、連絡線を素通りできるようになりました。

今では高樹町を出たあとに外をよく見ていないと、知らないうちに仙石線から東北本線に入ってしまいます。まぁ別にそれでいいんですけど。笑

システムに関して、詳しくは日立製作所(株)発行の難しい論文に書かれておりますので、興味がある方はどうぞ。私は読んでません。

石巻駅には何もない?

乗車前後でお世話になる石巻駅周辺の情報を追加します。

駅周辺のスーパーとヒーロー

石巻駅周辺をぶらり。基本的になにもないわけですが、

市役所と一体化しているイオンが駅前にありますので、ここが補給ポイントになりますね。HB-E210系が停車するホームからもよく見えます。

石巻駅周辺にはヒーローがたくさんいます。お子様連れの鉄オタさんは、これで子どもを釣れば仙石東北ラインの楽しい旅は確約間違いなしでございます。

駅構内のようす

さて、でんしゃのだいすきな大きいおともだちのヒーローは、1面2線の仙石線ホームにやってきますよ。

1本はあおば通発着の全線仙石線の普通列車が、もう1本は仙台発着の仙石東北ラインが使用しています。

どちらも1時間に2本程度の運行のみで、データイムはホームに余裕があり、仙石線・仙石東北ラインともに石巻駅での折り返し時間に余裕を持たせています。

発着例
【仙石線】1555着→1628発
【ライン】1517着→1558発(37分停車)

感染症対策もあり、この間は誰もいないのにすべてのドアを開け放っているのでエコの観点からはもったいないなと思ってしまいますが…こればかりは仕方がない。

短い間ですが205系とHB-E210系の並びも見ることができますね。

まとめ

仙石東北ラインに乗車し、以下の知見を得ました。

  • 仙台駅と石巻駅を速達で結ぶ
  • 直流と交流をまたぐため、気動車で運行
  • ボックスシートと横向きのシートがある
  • 駅には早めに入線している
  • 連絡線での一時停止は廃止

一時停止の廃止に関する日立製作所(株)の資料
>> こちら (PDF)

ではまた。

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