季節ごとに運転される臨時快速列車に乗車する際、下記に該当する場合は乗車券として定期券を利用できない可能性があります。
- 特急列車や急行列車の場合
- 全車指定席の快速列車の場合
以下で詳しく解説していきます。
あらためて臨時列車とは
臨時列車とは、
- 多客時の輸送力増強
- 不便な地域間のアクセス向上
を主な目的として、臨時で運転される列車のことを言います。
多客時の輸送力向上
多客時の輸送力向上を目的に走らせる臨時列車は、新幹線や在来線の特急列車に多く見られます。
新幹線では、のぞみ号やかがやき号、はやぶさ号をはじめとした、満席になりやすい新幹線を補完する形で臨時列車が運転されることが多いです。
在来線においても、中央線あずさ号や常磐線ときわ号を中心に、定期の特急列車に加えて臨時の特急列車が運転されることがあります。
また、急行「飯田線秘境駅号」のように、別の特急列車が設定されている線区において臨時の急行列車が設定されることもあります。
地域間のアクセス向上
地域間のアクセスを向上し、お客さんの利便性を向上することを目的に設定される臨時列車もあります。これらは、季節のイベントにあわせて定期列車が設定されていない区間に設定されることが多いです。例えば
- 房総や伊豆に向かう初日の出号
- 成田山に向かう初詣号
- 高尾山に向かう紅葉号
- ディズニーに向かうTDR臨
- ムーンライトながらなどの臨時夜行快速
などが挙げられます。
普段は乗換が必要となる区間を直通する臨時列車として運転され、移動の負担が軽減されるメリットがあります。
また、近年では、そのほとんどが全車指定席となっていることが多いため、指定席料金がかかりますが、あくまで「快速列車」なので特急料金は不要であり、コスト的にもメリットがあります。
定期券のルール
ここから本題に入っていきますね。
ご存じの通り、定期券は有効期間中に定められた区間が乗り降り自由となる乗車券のことです。
しかし、区間内であっても乗車できない列車があることをご存じでしょうか。
実は、定期券は見方によっては青春18きっぷを越える制約の厳しい乗車券だったのです。
本来乗れる列車と設備
定期券で乗れる列車は「普通列車の普通車自由席のみ」です。これが大原則で、今でも変わりはありません。
料金券不要の快速列車は普通列車に含まれますが、特急列車は特急券を買ったとしても普通車を含めて乗車することが出来ません。
また、グリーン券を買っても、グリーン車に乗車することはできません。
えっ!?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、本来はこれが原則です。でも…例外があります。
特例で乗れる列車
特例として、定期券を乗車券として利用できる特急列車を「列車ごと」「区間ごと」「設備ごと」に定めています。
- 特急「湘南」「踊り子」
- 特急「あずさ」「かいじ」
- 特急「あかぎ」「草津」「スワローあかぎ」
- 特急「ひたち」「ときわ」
など、首都圏のみで挙げてもキリがないほど、多くの特急列車に定期券+特急券で乗車できるようになりました。
これは、近年、特急列車を通勤手段として使う利用者が増えたこと、また、ライナーを廃止して特急化する鉄道会社側の都合などが加味されていると思われます。
特例で乗れる設備
2000年代に入り、首都圏の普通列車に連結されているグリーン車自由席も、定期券で乗ることが出来るようになりました。
かつては乗ることが出来ませんでしたが、通勤通学でのグリーン車利用促進のため、緩和されました。
なお、特急列車の場合、グリーン車は特例に含まれていない1)ため、利用できませんので注意が必要です。
2021年10月より、一部の特急列車でも定期券利用者向けにグリーン車が解放されています。東海道線(サフィール踊り子を除く)、中央線、高崎線方面の列車が該当します。引き続き、常磐線方面の列車は利用できません。
かつては定期券で特急やグリーン車に乗車できないことが常識だった時代もあるかもしれませんが、いまでは状況が逆転しています。
乗ることが出来ることが常識になってきていて、規則の大原則など深いことを考えずに特急券等をプラスして乗車している人がほとんどです。
臨時列車と定期券
定期券のルールの大原則を知ったうえで、臨時列車に乗れるのか考えていきましょう。
定期券で乗れる臨時列車
臨時列車であっても、列車名と区間が定められた範囲内であれば定期券を利用できます。
- 特急「あずさ」「かいじ」の臨時列車
- 特急「ひたち」「ときわ」の臨時列車
などは、普通車であればほかの定期列車と同様に利用することが出来ます。
定期券では乗れない臨時列車
地域間のアクセス向上を狙った臨時列車の場合は注意が必要です。
もちろん普通車自由席が連結されているのであれば利用できるのですが、指定席の場合は難しくなってきます。
臨時列車ごとに定期券で乗れる旨をいちいち定めないからです。
- 成田山に向かう初詣号(早春成田初詣号など)
- 高尾山に向かう紅葉号(紅葉高尾散策号など)
- ディズニーに向かうTDR臨(わくわく舞浜号など)
などは利用が出来ません。
補足
地域間のアクセス向上を狙った臨時列車の場合であっても、下記の場合は乗車できる区間があります。
ムーンライトながら号:かつて定期列車であった名残があり、JR東海管内では乗車券として定期券が利用できます。なお、ムーンライトながら号は今後運転されることはないかもしれません。
初日の出号:臨時列車ではありますが、定期列車が設定されている区間を走る特急の場合は、乗車できることがあります。
実態は?
ICカードの普及や人件費削減のため、車内での改札も簡素化しています。
特急券の有無や指定席券・グリーン券を確認することはありますが、乗車券については不問(駅に任せる)または入場記録の確認のみ、ということが多くなってきました。
一方、駅での運賃の収受はICカードがメインとなりますが、今タッチした人が
- 臨時列車の指定席に乗ってはいないか
- 特急列車のグリーン車に乗ってはいないか
などをチェックすることはできず、何も知らずにタッチすればいつも通り、定期券を適用したうえでの最短経路で運賃を差し引くことになります。
ただ、現状の規則では上記のようになっているので、駅で申し出て駅員の指示を仰ぐのが大原則となります。
※その結果、係員の判断で個別に定期券利用が認められることもあるかもしれませんが、大原則は覚えておいてくださいね。
まとめ
定期券では本来普通車普通席にしか乗ることが出来ませんが、特例で特急列車や普通列車グリーン車に乗ることが出来るようになりました。
季節ごとに運転される臨時快速列車に乗車する際、下記に該当する場合は乗車券として定期券を利用できない可能性があります。
- 特急列車や急行列車の場合
- 全車指定席の快速列車の場合
初詣の時期を迎え、臨時列車が運転されることが多くなりました。
トラブル防止のためにも、規則を理解したうえでお出かけしましょう。