2026年3月のダイヤ改正で、常磐線に上野発「日立行き」の普通列車が登場します。これまで勝田止まりだった列車を延長するものですが、なぜか高萩までは行かず日立止まり。発表を見たときは「なんて中途半端な」と思いました。しかし時刻と駅の配線を見ていくと、日立止まりには意外と合理的な理由がありそうです。
2026年改正で上野発「日立行き」が登場
2026年3月のダイヤ改正で、常磐線の普通列車にちょっと珍しい行き先が登場します。
上野発勝田行き列車を日立行きに変更
現在、上野05:11発の下り始発列車は勝田行きとして運転され、水戸には06:58に到着します。
水戸では07:03発のいわき行きに接続し、勝田まで走った列車は07:14発の品川行きとして折り返します。
改正後は、この上野発勝田行きが勝田を越えて日立まで延長され、日立07:30着となります。
ここで気になるのが行き先です。
常磐線の普通列車には高萩発着が多いにもかかわらず、この列車は高萩までは行かず日立止まりとなります。
勝田から北へ延長するのであれば、そのまま高萩まで走らせてもよさそうなもの。なぜ日立なのでしょうか。

延長の目的は水戸~日立間の混雑対策
まず、勝田行きを日立まで延長する理由そのものは比較的わかりやすいです。
水戸~日立間の朝ラッシュ時の混雑緩和
朝の水戸~日立間、とくに東海~日立間は混雑する区間です。10両編成でも通路まで乗客で埋まる日があります。
さらにダイヤ改正では、老朽化したE501系10両編成を運用から外すことに伴い、水戸07:03発のいわき行きがE531系5両編成となります。
単純に10両から5両へ短編成化すれば、朝の混雑区間では輸送力不足が懸念されます。
そこで、これまで勝田で折り返していた上野発の列車を日立まで延長。後続のいわき行きとは別に、水戸~日立間を走る列車を確保したと考えると辻褄が合います。
現行ダイヤでは、上野発勝田行きから水戸07:03発いわき行きへ乗り継ぐこともできます。その列車自体を日立まで走らせれば、後続の5両編成に利用者が集中することをある程度避けられます。
なお、改正後は水戸発いわき行きも07:03発から07:06発に変更され、日立行きとの運転間隔が調整されます。

それでも「なぜ高萩まで行かない?」
水戸~日立間の輸送力を補うための日立延長。ここまでは理解できます。
それでも気になるのが、「なぜ高萩まで行かないのか」という点です。
常磐線では高萩発着の普通列車をよく見かけます。日立~高萩間にも一定の利用がありますから、せっかく勝田から延長するなら高萩まで走らせてもよさそうです。
ところが時刻を追ってみると、ここに一つ問題が出てきます。
高萩まで走ると後続列車が迫ってくる
仮に今回の日立行きをそのまま高萩まで延長した場合、高萩到着は07:46頃になると推定されます。
問題は、そのすぐ後ろから水戸07:06発のいわき行きが走ってくることです。
高萩付近では両列車の間隔がかなり詰まり、単純計算では数分程度の間隔で後続のいわき行きが迫ってくることになります。
しかも、高萩駅は「行き先としてよく見る駅」という印象に反して、旅客ホームは1面2線です。
車庫はありますが、折り返し列車をホーム上に長時間置いたまま、後続の下り列車を簡単に先へ通せる構造ではありません。
高萩止まりにした場合は、到着後に乗客を降ろし、車内確認や折り返し準備などを行ったうえで、後続列車の進路を空ける必要があります。
- 07:46頃 高萩到着
- 乗客の降車
- 車内確認・折り返し準備
- その間にも後続のいわき行きが接近
これではかなり慌ただしい運用になります。

日立駅なら「中線」に逃がせる
そこで日立駅を見ると、高萩駅との大きな違いがあります。
日立駅には上下本線に加えて、中線となる2番線があります。
この中線は水戸方面・いわき方面の双方へ発着でき、特急の退避や臨時列車の発着などにも使用されています。
そして朝07:30前後であれば、この中線を使うことができます。
日立なら延長列車を中線に入れ、後続のいわき行きを先へ通すことができる
これなら日立到着後、すぐに折り返す必要はありません。
日立で折り返すにしても、その後どこかへ回送するにしても、ひとまず中線に入れて後続列車をやり過ごすことができます。
そう考えると、日立という一見中途半端な終着駅が、運用上は非常に都合のいい場所に見えてきます。

「日立止まり」は意外と合理的なのかもしれない
もちろん、JR東日本から「高萩駅の設備上の都合で日立止まりにした」と発表されているわけではありません。ここからは時刻と駅構造を見たうえでの推測です。
ただ、今回の変更を整理すると、日立止まりとした理由は見えてきます。
- 朝ラッシュ時の水戸~日立間の輸送力を確保したい
- 後続のいわき行きは10両から5両になる
- 高萩まで延長すると後続列車との間隔がかなり詰まる
- 高萩駅では後続列車を簡単に先へ通せない
- 日立駅なら中線に入れて後続列車を先へ通せる
つまり、「高萩まで走らせる必要がない」というより、「日立なら後続列車を邪魔せず処理しやすい」ことも、日立止まりとなった理由の一つではないでしょうか。
最初にダイヤ改正の発表を見たときは「なんて中途半端な」と思った日立行き。
しかし時刻と配線を眺めてみると、むしろ「日立だから都合がいい」列車なのかもしれません。


